元
脳卒中は、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の一部として含まれる疾患である。最近の研究では、口腔衛生の改善が脳卒中のリスク低減に関与する可能性が指摘されている。
そこで、アメリカのNHANESデータを用いた最新の研究を用いて、デンタルフロスの使用が脳卒中リスクに与える影響をくわしくしらべてみたそうな。
2017~2020年のNHANES(米国国民健康栄養調査)に参加した成人7,253名のデータを分析した。ASCVDの診断は、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈疾患のいずれかを有することと定義した。
デンタルフロスの使用頻度は自己申告によって記録され、週に何日使用したかに基づき分類し、年齢、性別、人種、教育レベル、BMI、糖尿病、高血圧、喫煙、飲酒、運動習慣などの交絡因子を統計的に調整後、デンタルフロス使用とASCVDの関連性を分析した。
次のようになった。
・デンタルフロスの定期的な使用は、脳卒中を含むASCVDリスクの低下と有意に関連していた。具体的には、
- フロス使用者全体は、非使用者と比べて脳卒中リスクが約32%低下(OR = 0.68, 95% CI: 0.49, 0.94, p=0.022)していた。
- 週3~4日フロスを使用する人は、リスクが約43%低下(OR = 0.57, 95% CI: 0.32, 0.99, p=0.047)していた。
- 週5日以上フロスを使用する人は、リスクが約31%低下(OR = 0.69, 95% CI: 0.47, 1.00, p=0.049)していた。
・これらの結果から、週3~4日以上のフロス使用が脳卒中を含むASCVD予防に有効である可能性が示唆された。
デンタルフロスの使用が脳卒中を含むASCVDリスクの低下と関連することが示された。これは、フロスによる口腔衛生の改善が、歯周病に関連する全身性炎症を抑えることに起因すると考えられる。ただし、因果関係を証明するためには、長期的なコホート研究やRCTが必要である、
というおはなし。
感想:
デンタルフロスをつかったことがない。