元
これまでの研究で 魚の摂取が脳卒中の発症率を低下させる可能性 が指摘されてきたが、その効果は一貫しておらず、特に 脳卒中リスクが高い人に対してどの程度有効なのか は明確になっていなかった。
そこで、中国の研究者らは 「魚の摂取と脳卒中の発症率の関係」 を大規模に調査し、特に 「もともとの脳卒中リスクが高い人ほど、魚の恩恵を受けやすいのか?」 という点をくわしくしらべてみたそうな。
この研究では、中国の15省に住む 9万5800人 を対象に、10年間の脳卒中発症率を予測するスコアを用いて 「低リスク群」と「中〜高リスク群」 に分類した。
その上で、各群で 魚の摂取量と実際の脳卒中発症率の関係 を解析した。
魚の摂取量は以下の4つのカテゴリーに分類された:
25g未満/週
25〜100g/週
100〜250g/週
250g以上/週
さらに、魚の摂取と「もともとの脳卒中リスク」との相互作用(additive interaction) を「相対超過リスク(RERI)」「相互作用による寄与割合(AP)」「シナジー指数(SI)」を用いて定量化した。
次のことがわかった。
・研究の追跡期間は 70万3869人年 で、その間に 2773件の脳卒中(うち1745件が脳梗塞、813件が脳出血) が発生した。
・魚の摂取量が多いほど、実際の脳卒中発症率が低下していた。
・特に もともとの脳卒中リスクが高い人ほど、その効果が顕著 であった。
魚を250g以上/週摂取する人は、25g未満/週の人に比べて、脳卒中の発症率が32%低下していた(HR=0.68, 95% CI: 0.59–0.78)。
・脳梗塞の発症率は30%減少し、脳出血の発症率も28%減少した。
・中〜高リスク群では、魚の摂取による発症率の低減幅がさらに大きかった。
低リスク群では36%低下にたいし、中〜高リスク群では47%低下 と、より強い効果が見られた。
・魚の摂取と「もともとの脳卒中リスク」の間に有意な相互作用が確認された。
・この相互作用の寄与割合(AP)は 36%(95% CI: 28–43%) であり、魚の摂取による脳卒中発症率の低減効果のうち、36%は「もともとの脳卒中リスクが高い人ほど魚の効果を受けやすい」ことによるものであった。
この研究により、魚の摂取は脳卒中発症率を低減し、特にもともとの脳卒中リスクが高い人でその効果が顕著であることが示された。
単に「魚を食べれば良い」のではなく、脳卒中リスクが高い人ほど魚を積極的に摂ることが有効な予防戦略になり得る という点が、新たな知見である、
というおはなし。
感想:
論文にはないけど、魚を多く摂って赤肉(四つ足の家畜肉)を避けることができたって点が脳卒中予防になっているとおもった。