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脳卒中は世界的に主要な死因の一つであり、後遺症に苦しむ患者も多い。その中で、食事の改善が予後を左右する重要な要素であることは広く知られている。特に、食物繊維の摂取量が脳卒中患者の生存率に影響を与える可能性があることが、最近の研究で示された。
そこで、食物繊維の種類ごとにどのような影響があるのか、脳卒中患者にとって有益な繊維はどれかを最新の研究結果をもとに、くわしくしらべてみたそうな。
アメリカの国民健康栄養調査(NHANES)のデータを基にした。1999年から2018年の間に収集されたデータから、脳卒中を経験した1,578名の食物繊維摂取量と死亡率の関係を分析した。
食物繊維は以下の4種類に分類され、それぞれの摂取量と死亡率の関連を調べた。
総食物繊維(Total fiber):すべての食物繊維を含む総量
穀物由来の食物繊維(Cereal fiber):パンや米、穀物製品に含まれる繊維
野菜由来の食物繊維(Vegetable fiber):緑黄色野菜や根菜に含まれる繊維
果物由来の食物繊維(Fruit fiber):果物に含まれる繊維
年齢・性別・喫煙歴・慢性腎臓病(CKD)・心血管疾患(CVD)などの影響を調整したうえで、死亡リスクとの関連を算出した。
次のことがわかった。
・食物繊維の種類によって脳卒中後の死亡リスクの低下効果に違いがあることが明らかになった。
・食物繊維の摂取量が多いほど全死亡率が27%低下(HR: 0.73, 95%CI: 0.57–0.94)。
・心血管疾患による死亡率も44%低下(HR: 0.56, 95%CI: 0.37–0.85)。
2.野菜由来の食物繊維(Vegetable fiber)
・高摂取群は全死亡率が37%低下(HR: 0.63, 95%CI: 0.48–0.82)。
・心血管疾患死亡リスクも43%低下(HR: 0.57, 95%CI: 0.36–0.89)。
・特に60歳以上、BMI30以上(肥満)、慢性腎臓病(CKD)患者で顕著な効果。
3.穀物由来の食物繊維(Cereal fiber)
・穀物由来の繊維は主に不溶性であり、腸内発酵による短鎖脂肪酸(SCFA)生成が少ないため、抗炎症作用が弱い可能性がある。
・全死亡・心血管死亡リスクとの明確な関連は見られなかった。
・果物には食物繊維が含まれるが、同時に果糖が多く含まれ、代謝リスクを増加させる可能性がある。
食物繊維は脳卒中患者の予後改善に有益だが、その効果は繊維の種類によって異なることがわかった。特に野菜由来の食物繊維の摂取が、全死亡率・心血管死亡率を大きく低下させることが明らかになった、
というおはなし。
感想:
食物繊維に穀物、野菜、果物の区別があることをしらなかった。