元
脳内出血は、脳卒中の中でも死亡や重度の後遺症を伴うことが多い深刻な状態である。
しかし、急性期(発症から24時間以内)の状況だけではなく、発症後しばらく経ってからの回復経過も、その後の生活の質やリハビリ効果に大きく関わる可能性がある。
そこで、脳内出血後の亜急性期(発症24時間~7日)のうちにどれだけ症状が改善するか(亜急性期の神経学的改善:SNI)が、90日後の転帰にどのような影響を及ぼすかをくわしくしらべてみたそうな。
INTERACT2試験(急性期脳内出血に対する降圧療法を検証した大規模研究)に参加した2,571名のデータを利用した。
亜急性期の神経学的改善(SNI)の定義:NIHSS(脳卒中の重症度を評価するスケール)のスコアが、24時間から7日までの間に
1点以上改善:わずかな改善(Any SNI)
2点以上改善:中程度の改善(Moderate SNI)
3点以上改善:大きな改善(Significant SNI)
4点以上改善:かなり大きな改善(Substantial SNI)
主要な評価項目:90日後の死亡や重度障害(modified Rankin Scaleで3~6)、重度障害のみ(3~5)、および死亡率
解析方法:年齢・初期の出血量など、予後に影響する主要な要因を統計モデルで調整し、SNIの有無や大きさがこれらの転帰とどう関連するかを調べた。
次のことがわかった。
・全体の58%が「わずかな改善(1点以上)」を示し、さらに「中程度(2点以上)」「大きな改善(3点以上)」「かなり大きな改善(4点以上)」といった形で段階的に改善した人も含まれていた。
・わずかな改善(1点以上)を示した人では、90日後の死亡または重度障害が約49%減り(オッズ比0.51)、死亡率は約65%減る(オッズ比0.35)など、統計的に有意な改善が確認された。
・改善の度合いが大きくなるほど、死亡や重度障害のリスクがさらに下がる傾向が示された。
・早期の強化降圧治療は、SNIの発生自体を大幅に増やすことは確認されなかった。
脳内出血の患者において、亜急性期(発症から1週間)にNIHSSスコアが改善するかどうかが、その後90日間の死亡や重度障害を大きく左右することが示された。つまり、初期の状態だけで判断せず、1週間以内の回復状況を観察することで、長期的な予後をより正確に見通せる可能性がある、
というおはなし。
感想:
ようするに、脳内出血患者の6割は改善傾向にあって、それはかなり早い時期にわかるってこと。
発症1週間後だとまだ左腕がタコの足のようにグニャグニャしかも感覚ゼロで途方に暮れてた思い出がある。