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近年、若年層での脳卒中が増加している一方、高齢者では減少傾向にある。この傾向の違いは、生活習慣の変化や医療の進歩だけでなく、脳卒中リスク因子の影響が年齢によって異なる可能性 を示唆している。
そこで、メンデルランダム化(MR)解析 を用いて、若年発症(18〜59歳)と高齢発症(60歳以上)の脳梗塞におけるリスク因子の因果関係を比較し、どの因子がより強く影響するのかをくわしくしらべてみたそうな。
遺伝的データを用いるMR解析は、従来の観察研究とは異なり因果関係をより強く示唆することができる。この手法を用いて、BMI(肥満度)、血圧、2型糖尿病(T2D)、HDLコレステロール などの一般的な脳卒中リスク因子が、若年発症脳梗塞(EOS)と高齢発症脳梗塞(LOS)にどのような影響を与えるか を比較した。
次のようになった。
・若年発症脳梗塞(EOS)では、BMI、血圧、T2D、HDLコレステロールが強く関連 していた。
・一方、高齢発症脳梗塞(LOS)では、収縮期血圧(SBP)のみが有意に関連 していた。
・特に、BMIの影響はEOSで顕著であり、BMIが高いほど脳卒中リスクが増加していた(オッズ比 1.26, 95%信頼区間 1.13–1.40)。
・しかし、脳梗塞のサブタイプ(心原性、アテローム性、小血管病など)ごとに解析すると、BMIの影響の差は小さくなり、統計的な有意差は消えた。これは、EOSに多い心原性脳梗塞や原因不明の脳梗塞が、肥満の影響を受けやすい可能性 を示唆している。
MR解析によって、若年者と高齢者では脳卒中リスク因子の因果的な影響が強く異なることがわかった。特に、若年者においてはBMIを含む肥満管理や糖尿病の対策が重要であり、高齢者においては血圧管理がより重要となる可能性がある、
というおはなし。
感想:
若いうちは体重、高齢になったら血圧だけ気にすればよし、ってこと。