~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

2025年2月21日

抗凝固薬の真実!100人に1人しか救えないのに、大出血リスクと釣り合うのか?

2025  2月  タイ


心房細動(AF)は脳卒中の大きなリスク要因であり、その予防には抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)が推奨される。しかし、どの薬が本当に効果的で安全なのかは重要な問題である。

そこで、アジア人のAF患者を対象に、ワルファリンと新規経口抗凝固薬(NOAC)の臨床的な有益性を比較し、どちらが脳卒中予防に適しているかをくわしくしらべてみたそうな。



タイ国内27の病院で行われた大規模な前向きコホート研究「COOL-AFレジストリ」のデータを用いた。対象となる患者は、非弁膜症性心房細動を持つ3,405人であり、約3年間の追跡調査が行われた。主要な評価項目は、虚血性脳卒中・全身性塞栓症(SSE)、大出血、頭蓋内出血(ICH)である。

治療群は以下の3つに分類された。

1.抗凝固薬を使用しない群(No Anticoagulation, No AC)
2.ワルファリン(TTRが65%以上と未満でさらに分類)
3.NOAC(新規経口抗凝固薬, Novel Oral Anticoagulants)

この研究では、「治療必要数(NNT: Number Needed to Treat)」という指標を用いて、どの治療が最も有益であるかを評価した。NNTは、1人の患者に望ましい結果をもたらすために治療しなければならない人数を示す。

NNTが低いほど効率の良い治療であり、逆にNNTが大きいほど、多くの人に治療を行っても効果を得るのが難しいことを意味する。

また、ワルファリンの管理指標として「治療域時間(TTR)」を使用した。TTRは血液凝固能の指標である国際標準化比(INR: International Normalized Ratio)が適正範囲内にある時間の割合を示し、65%以上が良好とされる。



次のようになった。

ワルファリンの有効性はTTRに依存:
・TTRが65%未満のワルファリン群では、脳卒中の予防効果よりも出血リスクの増加が上回り、臨床的な利益がマイナス(NNTnetが-37.33と負)となった。
・一方、TTRが65%以上のワルファリン群では、脳卒中予防の効果が出血リスクを上回り、抗凝固療法の有益性が確認された。

NOACの臨床的有用性:
・NOACはワルファリンよりも頭蓋内出血のリスクが低いが、全体的にNNTが101.29であり、効果の程度は限定的である。
・NOACは抗凝固薬を使用しない場合と比べても、脳卒中のリスクを効果的に低減し、安全性の面でも優れていた。


ワルファリンはTTRを適切に管理できない場合、脳卒中予防よりも出血リスクが上回るため、十分な効果が期待できない。一方で、TTRが65%以上を維持できる場合は有益である。しかし、現実的にはTTRを高く維持するのは難しく、多くの患者にとってはNOACの方が安全かつ有効な選択肢となる。特に、脳卒中経験者にとっては、出血リスクを抑えながら脳卒中予防ができるNOACが推奨される、


というおはなし。

NOACのススメ



感想:

大した効果もないのに、NOAC(DOACともいう)は安全、という言葉がひとりあるきして、だれかれかまわず適用した結果、現場での脳内出血率がワルファリンの5倍に増えてしまった。↓




さいきんの人気記事10

回復と予防のヒント100記事(2017年1月までのぶん)

脳卒中を見逃さない BE-FAST とは
玉子のコレステロールで血管詰まる説はなんだったのか?
緑茶を飲めば慢性期でも脳が再生するという根拠について
2度めの脳卒中で可塑性が再び高まる可能性について
高齢の脳卒中患者へのリハビリは無駄なの?
人生に目的を持つ高齢者の脳には梗塞が寄りつかないことが明らかに
目的をイメージしながら動作訓練すると脳がより広く鍛えられることが明らかに
脳卒中予防には歩く時間が大切 距離やスピードじゃなくてジ・カ・ン
日本人が脳卒中で死なないための生活習慣が判明
水をたくさん飲むと脳卒中にならない、はホントだった

口の中が汚いと脳内出血になるという根拠について
脳梗塞と脳出血を同時に防ぐ肥満度BMIがわかった
脳卒中を防ぐミルクとチーズの量が明らかに
片麻痺の立ち上がり訓練 効果的なやり方
脳卒中は脳機能8年間分の老化に相当することが明らかに!
高血圧の脳卒中予防には葉酸サプリメントが効くことが判明
[ ナッツ vs. 豆 ] 脳卒中予防に適しているのはどちら
触覚刺激で脳がすぐに回復し その効果が10年以上続く可能性について
脳が再生する運動強度がわかった
緑茶とコーヒーを飲むと相互作用で脳出血リスクが3割減ることが判明

脳卒中で復職可能な年数がわかった
ランセット誌:塩分減らすとかえって脳卒中になる
オナニーがきっかけで脳出血になる割合
手の痙縮を解く低周波治療器の効果的使用法が判明!
睡眠8時間を超える人は問答無用で脳卒中リスク46%増し
カップラーメンを週2回以上食べる女性が脳卒中になりやすい理由について
怒りと脳卒中との関連が明らかに
難しい理屈はいいからスクワットをやれ
1日に6000歩以上で脳卒中の再発予防になることを日本の研究者が解明
脳出血で損傷した脳が勝手に再生する可能性について

脳卒中患者がネットを使いこなす理由
若年脳卒中患者は脳の老化が10-20年進んでいた
マルチビタミンの脳卒中予防効果は〇〇年後に現れる
最新の音楽療法 バイノウラルビート (Binaural Beat)
脳卒中になりやすい労働時間がわかった ランセット誌
脳卒中が軽症だからって運転させていいの?
健康のために毎日いっしょけんめい運動するとかえって脳卒中になりやすいことが100万人の調査で明らかに
足をクロスしていたら半側空間無視 確定か?
療法士さんよりもビデオゲームの方が優れていると判明!
両手準備運動をすると脳が刺激されて上肢リハビリが加速することが判明!

心を改め運動を始めるだけで脳の可塑性は復活する
知らない音楽を聴くと脳が広く活動して新しい回路が、
なんとか復職しても仕事は続けられるのだろうか?
NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね
脳卒中の言語障害はウェルニッケやブローカのせいではなかった!
手の指を繰り返し動かしてあげても脳への影響はゼロ
片足立ち20秒未満 →小さな脳梗塞や脳出血の可能性高!
[住みやすい国] 日本の脳卒中と自殺との関連について
再発予防のために血圧を120以下にすると長生きできない
【いますぐ実践】片鼻呼吸法で失語症が改善することが明らかに

悪玉善玉比L/Hが低いと脳内出血で死ぬことが明らかに
鼻炎のメリット→脳梗塞予防効果
脳卒中 幹細胞治療のダークサイドについて
ランセット誌:握力よわくなったら脳卒中が近いと知りなさい
だいたい5年後に脳卒中経験者が悩んでいること
ハゲを治そうとして脳卒中になってしまった日本人2例
退院したての元患者が感じていること
麻痺側の触覚を刺激し続けると梗塞を最小限にできる可能性について
脳卒中経験者は自動車運転をナメきっていることが判明
減塩に真面目な人ほど脳卒中で死亡するという事実

納豆を食べると脳卒中で死なない 2万9千人調査
NEJM誌:幹細胞ツアーに参加したら癌ができた
脳梗塞から脳出血へ コレステロールとの関連が明らかに
脳出血で死なないための睡眠時間が判明!
音楽サポート療法の「音楽」はほんとうに必要なのか?
患者に毎日好きな音楽を聴かせたところ、脳に構造改革が起きた模様
感情失禁になる患者の割合について
脳の可塑性のおかげで2年経っても運動機能が回復することが判明
【悲報】脳卒中後、杖を使い続けると麻痺していない手まで動かなくなる
血圧が高いひとは、他人の気持ちがわからない

生活習慣を改めれば脳卒中の再発は防げるの?
カニ歩きと後ろ歩き 片麻痺リハビリに効果的なのは、、
鍼治療の「得気」は小脳のはたらきだった
脳梗塞実績No.1漢方薬 → ほようかんごとう
閉じ込め症候群の患者にあえて生活の質を問うてみた結果、、
砂糖の代わりに甘味料を使うと脳梗塞がさらにひどくなることが判明
ダメージを負った脳組織が勝手に再生する仕組みが明らかに
指ストレッチはいいらしいから さっそくこのビデオで実践することにした
【肥満パラドックス】脳梗塞で長生きするBMIが判明
リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ

刺激豊富な環境で脳梗塞が治る理由
猫を飼う女性は脳卒中で死なないことが判明!
美容院で脳卒中になる女性が続出!
「ストレスが原因」と語る脳卒中患者ほど実はなにもわかっていない
傷ついた脳に効くBDNFが増えるサプリメントが明らかに
運転リハビリに良さそうなおすすめドライブゲーム
【アロマテラピー】ラベンダーの香りが脳梗塞にすごく効く
脳卒中後の疲労感は 只の疲労とはわけが違う
脳卒中がきっかけでホモになることがあるらしい
ダイエットコーラを毎日飲むと脳卒中になることが判明

高コレステロールに朗報 葉酸サプリの脳卒中予防効果
BDNFが7年かけて脳を修復してくれるという根拠について
朝ごはんを食べない日本人は脳内出血になることが判明!
脳卒中予防に最適なビタミンBサプリメントの組み合わせがわかった!
脳卒中経験者の血圧を十分に下げたら死亡者が続出した
痙縮が治る ただの風呂と温泉を比較した
歩きスマホが脳卒中患者のリハビリに適しているという根拠について
磁気嵐が脳卒中を引き起こす と判明!
リハビリは動かせばイイってもんじゃぁない. 本人がやる気になるまで待て.
『足首を鍛えたいのに麻痺して動かないの』→『もう一方の足を鍛えなさい』