元2025 2月 オーストラリア
・脳卒中による後遺症が、当事者の性やセクシュアリティに多様な影響を及ぼすことが示された。以下に、参加者のうち7つの体験談を引用する。
1. 参加者1(ゲイ)発言抜粋“Because my bowel movements… I don’t like doing it and neither does my partner because I can’t clean my bowels properly. So, it’s frustrating.”脳卒中後の排泄管理の問題が絡んで性行為に支障を来し、特にアナルセックスを回避せざるを得なくなったと語っている。2. 参加者3(クィア)発言抜粋“I felt like I had to tell them about… the fucking terrible shit about me. So, you can just leave now kind of thing.”脳卒中経験者としての身体的・心理的な負担を恐れて、自分を先に否定するようになり、新しい関係を築きにくくなったという。3. 参加者5(バイセクシュアル/ノンバイナリー)発言抜粋“I can’t hang out with people for very, very long… I get tired… I don’t get invited to parties…”バイセクシュアルかつノンバイナリーというアイデンティティを持ち、自分に合ったコミュニティを求めていたが、脳卒中後の体力低下で積極的な行動が難しくなっている。4. 参加者12(ゲイ)発言抜粋“I’m virtually a top but it’s hard for me to kneel… He has to position himself in a different way so I can achieve… orgasm.”自分が主導的に行う体位(top)を維持したいが、膝をつく姿勢が困難になり、パートナーがサポートしてくれることでオーガズムが成立していると述べている。5. 参加者13(トランスジェンダー女性/クィア)発言抜粋“Part of this is just fatigue. … that not tonight honey effect.”トランスジェンダー女性として生活しているが、疲労のために「今夜はちょっと無理」という状況になりやすく、身体面・精神面の調整が難しいと語っている。6. 参加者21(ゲイ)発言抜粋“I guess the gay community attitude to disability and difference is really quite distressing… It’s body image and body beautiful… simply doesn’t include me.”脳卒中後の麻痺や体力低下により、自分がゲイコミュニティの美意識から排除されているように感じ、つらいと述べている。7. 参加者23(ゲイ)発言抜粋“It was my right side that was affected. And that affected even my… solo sex life… everything.”右半身まひの影響で日常生活全般が変わり、セルフプレジャー(マスターベーション)を含めた性的活動も難しくなった。
・脳卒中は身体機能をはじめ、人間関係や自己認識を総合的に揺るがすが、その変化を“新たな性的活動や関係性”へと再構築していく実例も見られる。