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不思議の国のアリス症候群(Alice in Wonderland Syndrome, AIWS)は、視覚や体感覚の異常を引き起こす珍しい神経症候群である。物が大きく見えたり、小さく見えたり、遠くにあるはずのものが近くに感じられるなど、まるで「不思議の国のアリス」の世界に迷い込んだような感覚になる。
この症候群は主に片頭痛と関連しているが、実は脳卒中やてんかんといった病気とも関係があることを示す事例があったそうな。
次のことがわかった。
・69歳の男性がAIWSの症状を呈した。この患者は、過去に右後頭葉の脳梗塞を発症しており、突然「人が小さく見える」「部屋が伸び縮みする」「自分の体の一部が大きくなったように感じる」といった視覚・体感覚の異常を訴えた。さらに、左足の断続的な痙攣や、まぶたのピクつきも見られた。
・医師の診察により、患者は「AIWS」と診断された。MRI検査では、右後頭葉に梗塞の痕跡が認められ、脳波検査(EEG)では右脳に異常な電気活動が見られた。
・治療として抗てんかん薬(フェニトイン)が投与されると、AIWSの症状は数日以内に消失。これにより、てんかん発作がAIWSを増強していた可能性が高いことが示唆された。
これまでAIWSは片頭痛に関連すると考えられていたが、この症例は脳卒中がAIWSを引き起こし、さらに焦点性てんかんがその症状を悪化させる可能性があることを示唆している。
また、この症例では、AIWSが抗てんかん薬の投与によって改善したことが確認された。つまり、AIWSの一部は適切な治療によって回復可能である可能性がある、
というおはなし。
感想:
もともと片頭痛でたまに見られる症状のようで、
むずむず脚症候群とおなじく一過性で病名がおもしろいだけの症候群だった。