元
くも膜下出血の多くは動脈瘤の破裂が原因であるが、中には破裂動脈瘤が特定されないものも存在する。これを「非動脈瘤性くも膜下出血(naSAH)」と呼ぶ。
naSAHは、出血の場所や広がり方によって2つのタイプに分類される。
一つは脳幹周囲に限局する「pnSAH(pretruncal SAH)」で、もう一つは出血が広範囲に広がる「npnSAH(non-pretruncal SAH)」である。
これら2つのタイプの患者の特徴と予後について詳しくしらべてみたそうな。
ポルトガルのブラガ病院において、2014年から2023年に非動脈瘤性くも膜下出血と診断された149人の患者が対象となった。全員が脳のCTやMRI、さらに血管造影検査で動脈瘤が否定されている。
患者はCT画像に基づき、「pnSAH」と「npnSAH」の2つに分類された。治療後の転帰はModified Rankin Scale(mRS)を用いて評価し、0~2を「良好な予後」、3~6を「不良な予後」とした。
次のことがわかった。
・97.7%がmRS 0~2で良好な予後を示した。
・平均年齢は62歳で、シルビウス裂や脳梁周囲など広範囲に出血。
・22.6%がmRS 3~6の不良な予後を示した。
・急性水頭症の発生率は27.4%と高く、転帰の悪化に影響した。
・全体として、pnSAHは静脈性の局所的な出血が原因と考えられ、予後が良好であるのに対し、npnSAHは広範囲に出血が広がるため、合併症のリスクが高く、予後不良のケースが多いとされた。
非動脈瘤性くも膜下出血(naSAH)は、pnSAHとnpnSAHの2つのタイプに分類され、これらは予後に大きな違いをもたらすことが明らかになった。pnSAHは主に静脈性出血が原因であり、予後が非常に良好である。一方、npnSAHは広範囲な出血や急性水頭症などの合併症を伴いやすく、予後が悪化する傾向がある、
というおはなし。
感想:
ワタシ『そうは言ってもnpnSAHは動脈瘤性SAHに比べて転帰ははるかにいいですよね。一言で。』
AI『その通り、npnSAHは動脈瘤性SAHに比べて再出血や血管攣縮のリスクが低いため、予後ははるかに良好である。』
ワタシ『動脈瘤がみつからなかったおかげでクリップやコイルをハメられずに済んだことが、転帰の良さにつながっているとワタシは考えます。その可能性は?』
AI『その可能性は十分に考えられる。動脈瘤性SAHでは再出血を防ぐためにクリッピングやコイル塞栓術が行われるが、これらは侵襲的手技であり、術中・術後の合併症(血管損傷、虚血、血栓形成など)が転帰を悪化させるリスクがある。一方、npnSAHでは動脈瘤が見つからないため、これらの治療が不要であり、その結果として転帰が良好である可能性がある。
ただし、npnSAH自体がaSAHに比べてそもそも軽症である場合も多いため、転帰の良さは治療の回避だけでなく、疾患そのものの性質による部分も大きいと考えられる。』