元
脳卒中は、身体機能だけでなく、認知や感情にも深刻な影響を与える障害である。特に、実行機能(注意力、記憶、柔軟性)や感情的健康(幸福感、不安、抑うつなど)の低下は、患者の社会復帰や生活の質を著しく制限する。
そこで、音楽療法(MT)や音楽に基づく介入(MBI)がこれらの課題にどのように役立つかをくわしくしらべてみたそうな。
本研究は、49件の過去の研究を対象としたスコーピングレビューである。スコーピングレビューとは、特定のテーマに関連する研究を幅広く探索し、現状の知識を整理したり知識のギャップを特定する方法である。
能動的介入(楽器演奏、歌唱、リズム運動など)と受動的介入(音楽リスニングなど)の両方を含んでいる。
また、音楽療法(MT)と音楽に基づく介入(MBI)の違いにも注目している。MTは資格を持つ音楽療法士が計画・実施する体系的なプロセスである一方、MBIは音楽療法士が関与しない形式も含まれる。
各研究では、音楽介入の効果が実行機能(EF)や感情的健康(EWB)にどのように影響するかを分析し、対象者の状況や使用された介入形式を比較した。
次のことがわかった。
・73%の研究が音楽介入による肯定的な効果を報告していた。特に以下の特徴が明らかになった:
・能動的介入: 実行機能や運動機能の改善に効果的であった。リズム的聴覚刺激(RAS)による歩行訓練や楽器演奏が具体的な例である。
・受動的介入: 主に感情的健康の改善に寄与した。音楽を聴くことでストレスや不安が軽減されることが確認された。
・MT(音楽療法)は、個別化された目標に基づき、音楽療法士が計画・実施するため、より体系的で専門的な効果が期待できる。
・MBIは、音楽療法士がいない環境でも実施可能であり、柔軟性が高い。特にリハビリ運動やリラクゼーションを補完する形式が多かった。
・また、受動的介入よりも能動的介入のほうが、複数のアウトカムにわたる効果が高い傾向が見られた。
音楽療法(MT)とMBIが、脳卒中後の実行機能や感情的健康の回復に役立つことが示された。能動的介入は認知機能や運動機能の改善に特に効果的であり、受動的介入は感情面のサポートに適している。また、MTとMBIのどちらを選ぶべきかは、利用可能なリソースや患者のニーズに依存する。音楽は、脳卒中経験者にとって単なる娯楽ではなく、回復への重要な手段となり得る。受動的な形式も含めて日常的に音楽を取り入れることが、回復を助ける重要な手段となるだろう、
というおはなし。
感想:
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1日の半分はこれ聴いてる。