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脳卒中は、死亡原因として世界で2番目、障害の原因として3番目に位置する深刻な疾患である。脳卒中経験者の死亡リスクを軽減し、健康を維持するためには、ライフスタイルの見直しが重要である。
そこで、血中25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)の濃度と身体活動(PA)が脳卒中経験者の死亡リスクにどのような影響を与えるかを明らかにするべくくわしくしらべてみたそうな。
2007–2008年から2017–2018年の間に実施された全米健康栄養調査(NHANES)のデータを使用した。対象となったのは、脳卒中経験者677名で、血中25(OH)D濃度と身体活動状況を測定し、その後の死亡リスクとの関連を解析した。
身体活動は、週に600メッツ分以上(中強度の運動を150分相当)を実施しているかどうかで分類した。また、死亡リスクは全死因死亡と非主要心血管死(Non-MACE)に分けて評価した。統計解析には、Cox比例ハザードモデルを用い、年齢、性別、BMI、喫煙歴などの交絡因子を調整した。
次のことがわかった。
全死因死亡リスクが62.4%低下(HR=0.376)。
非主要心血管死リスクが73.5%低下(HR=0.265)。
全死因死亡リスクが72%低下(HR=0.280)。
非主要心血管死リスクが73.4%低下(HR=0.266)。
・25(OH)D濃度が高く、身体活動も行っている場合:
全死因死亡リスクが87%低下(HR=0.132)。
非主要心血管死リスクが91%低下(HR=0.092)。
・これらの結果は、25(OH)D濃度と身体活動がそれぞれ独立して死亡リスクを低下させるだけでなく、組み合わせることで相乗効果があることを示している。
・また、25(OH)Dは免疫機能の調節や抗炎症効果を通じて脳卒中後の健康を支える役割があり、血中濃度を適切に維持することで回復の可能性を高めることができる。
脳卒中経験者において、血中25(OH)D濃度を適切に維持しつつ、定期的に中強度の身体活動を行うことが、死亡リスクを大幅に低減させることがわかった。具体的には、日光を浴びながらの散歩や適度な運動を生活に取り入れることが推奨される、
というおはなし。
感想:
ひなたぼっこしながらの軽い運動が、脳卒中など心血管疾患の再発を防ぐから死亡リスクが下がったわけではなく、がんや感染症を寄せ付けなくなるおかげで死亡リスクが90%も下がる、ってこと。