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高齢者の不慮の事故による死亡原因として、転倒は最も多い要因である。
特に入院患者の場合、転倒は治療の遅れや入院期間の延長を引き起こし、医療費の増加や生活の質の低下を招く。これらを防ぐには、入院中に転倒リスクが高い患者を特定し、早期に予防策を講じることが不可欠である。
しかし、転倒リスクを簡便かつ正確に評価する方法は限られており、特に高齢患者に特有のリスク要因は十分に解明されていないので、
高齢入院患者を対象に転倒リスク要因をくわしくしらべてみたそうな。
転倒リスクの評価には、JHFRAT(Johns Hopkins Fall Risk Assessment Tool)を使用した。
このスケールは、年齢、転倒歴、排泄状態、高リスク薬剤の使用、移動能力、認知能力などを総合的に評価し、低リスク、中リスク、高リスクの3群に分類するものである。
研究対象となった112名の高齢入院患者をこの方法で評価し、各リスク群の特徴を比較した。
次のようになった。
・転倒リスクが有意に高い患者の特徴として、歩行速度の低下(歩行速度が1秒間に1m未満)、脳卒中の既往歴が挙げられた。
・特に、脳卒中の既往歴と歩行速度の低下が転倒リスクの独立した要因であることが多変量解析で明らかになった。
・一方で、サルコペニア(筋肉量・筋力の低下)は転倒リスクと関連していたものの、独立したリスク要因としては認められなかった。
高齢入院患者における転倒リスクのうち、特に脳卒中の既往歴と歩行速度の低下が重要なリスク要因であることがわかった、
というおはなし。
感想:
脳卒中経験者のうち、バランスに障害が残る者はわずかだけど、ほとんどが降圧薬与えられているのでちょっとした拍子にクラっとくるのよね。
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AI『その指摘は非常に重要だ。脳卒中経験者の転倒リスクは、単に運動機能やバランスの障害だけでは説明できず、降圧薬の影響が見過ごされがちな要因として大きく関与している。』