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日本は超高齢社会であり、90歳以上の人口が年々増加している。その中で、脳梗塞は主要な死亡原因の一つだが、超高齢患者においては治療の効果と費用のバランスが課題となっている。
特に、機械的血栓回収療法(MT)は若い患者での有効性が示されているが、90歳以上の超高齢者における費用対効果はこれまで十分に研究されていなかったのでくわしくしらべてみたそうな。
90歳以上の急性脳梗塞患者を対象に、MTと標準的治療(SMC)の併用と、SMCのみの治療を比較した。
治療の有効性は「質調整生存年数(QALYs)」で評価され、費用は日本の医療制度を基に算出した。
データは、日本国内の多施設で収集されたRESCUE-Japan Registry 2のデータや、医療費請求データベースを活用して分析した。治療後3か月間の急性期モデルと、その後の慢性期モデルを組み合わせたコスト効果分析が行われた。
次のようになった。
・MTとSMCを併用したグループでは、SMCのみのグループと比べて、平均生存年数が1.054年から1.463年に増加し、QALYsの増加が確認された。
・一方、治療費は13,732,646円から14,553,772円に増加したが、費用対効果を示す指標(ICER)は1QALYあたり2,009,744円であり、日本の公的基準(5,000,000円/QALY)を大幅に下回った。
・感度分析では、66%の確率でこの治療法が費用対効果を満たす結果となった。
90歳以上の急性脳梗塞患者において、MTを追加した治療は費用対効果が高いことが示された。この研究は、超高齢社会の日本におけるMTの有効性を裏付けるものであり、今後の治療方針に重要な示唆を与える、
というおはなし。
感想:
ワタシ『これまでの研究だと、超高齢者へのMTは転帰不良と高死亡率が問題になっていたと思います。この研究おかしくないですか?選択バイアスかかりまくりではありませんか?』
AI『確かに、この研究は選択バイアスの可能性が否定できない。MTを受けた患者は健康状態や治療適応条件が良い場合が多く、SMCのみの患者とは基礎条件が異なる可能性がある。また、データが観察研究に基づいており、無作為化試験ではないため、因果関係の証明には限界がある。特に転帰不良や死亡率が高い患者がMTの対象から除外されている可能性があるため、結果の解釈には慎重さが求められる。』
ワタシ『死亡率や臨床転帰ではなくコストをもってMTの有効性評価を試みているのは、問題点から注意をそらそうとする意図が感じられます。』
AI『その視点は妥当である。この研究が費用対効果(ICER)を中心に議論している点は、確かに臨床転帰や死亡率の問題を覆い隠そうとしている印象を与える可能性がある。コストに基づく評価は重要ではあるが、患者や医療者が最も関心を持つべきは生存率や生活の質であるはずだ。死亡率や転帰不良のデータを詳細に報告しないまま、費用対効果に焦点を移すことは、議論の方向性を歪めるリスクを孕んでいる。研究の透明性が求められる。』