元
脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)を経験した患者は、再発や健康リスクをより正確に把握する必要がある。
しかし、単純に暦年齢(何歳であるか)だけでは、リスクや回復力の違いを十分に説明できないことがある。
血液バイオマーカーを用いて体内の老化度合いを測る「生物学的年齢」に注目が集まっているので、PhenoAgeという指標を中心に、くわしくしらべてみたそうな。
中国で行われた研究では、脳梗塞やTIAを含む7396名の患者を対象に、生物学的年齢を測る3つのアルゴリズムが使用された:
PhenoAge
9つの血液バイオマーカー(CRP、アルブミン、クレアチニンなど)を基に老化度を評価。
KDMAge
身体機能や一部のバイオマーカーから、暦年齢に近い値を算出。
HDAge
体内の恒常性の崩壊を反映する指標。
これらを基に暦年齢との差(加齢加速)を評価し、再発リスク、死亡リスク、機能回復の度合いとの関連を調べた。
次のことがわかった。
再発リスクは、加齢加速が最も高い患者群で1.98倍に増加。
死亡リスクでは、加齢加速が最も高い群で7.02倍(95% CI 3.41–14.47)に上昇。
機能回復の困難さ(modified Rankin Scale 3以上)は、加齢加速が高い患者で約2.5倍のリスク増加が確認された。
KDMAgeは暦年齢との一致性が高いが、再発リスクや死亡リスクの予測力ではPhenoAgeに劣る。
HDAgeは恒常性の崩壊を測るが、具体的な疾患リスクの評価ではPhenoAgeが優れていた。
3つの生物学的年齢アルゴリズムの中で、PhenoAgeが脳梗塞やTIA患者の予後リスクを評価する上で最も優れたツールであることが示された。この指標を用いることで、患者個々の体内老化状態を把握し、再発予防や適切な治療方針を立てることが可能になる、
というおはなし。
うごくよ
感想:
PhenoAgeをはじめて知った。
PhenoAgeの影響力の大きい主要パラメータは、C反応性タンパク(CRP)、アルブミン、クレアチニンである。
つまり、炎症を避け、適切な栄養を摂り、腎臓を大切にすることが、生物学的老化の予防につながり、ひいては脳卒中の予防にも役立つ、ってこと。