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自然発生性クモ膜下出血(SAH)は突然発症し、生命に重大な影響を及ぼす脳卒中の一種である。この疾患は特に女性に多く見られ、発症メカニズムは複雑で、予防が難しい。
過去には医学的な要因に注目が集まってきたが、近年では社会経済的な環境もリスクに影響を与える可能性が指摘されている。
そこで、性別による社会経済的要因の違いがSAHリスクにどのように関わるかをくわしくしらべてみたそうな。
スウェーデンのウプサラ大学病院で治療を受けた890人のSAH患者と、年齢と性別が一致する対照群(4,450人)を対象に、発症前5年間の社会経済的状況を調査した。
収入、雇用状況、教育レベル、単身生活の有無、配偶者関係の変化、居住地の人口密度などについて、性別ごとにリスク要因が異なるかを解析した。
次のことがわかった。
・女性の場合、教育レベルが低い、失業、単身生活、高齢、人口密度が低い地域に住んでいるといった経済的に不安定な状況がSAHリスクを高める要因として関連していた。
・また、SAHを発症した女性は対照群に比べて収入が低く、障害年金の受給率が高い傾向にあった。
・一方、男性の場合、リスク要因として配偶者関係の変化(離婚など)や単身生活、さらに人口密度の低い地域に住むことが影響していることが示された。
・人口密度の低い地域に住むことがリスク要因である理由は、医療へのアクセスの悪さだけでなく、こうした地域が社会的・経済的に不利な環境であることを反映している可能性がある。
女性では教育レベルの低さや収入の少なさ、男性では社会的孤立や配偶者関係の変化がSAHリスクと関連していることが示された。また、男女共に人口密度の低い地域に住むことがリスク要因であるが、これは医療アクセスの問題よりも、生活環境が社会経済的に不利な状況を反映している可能性がある、
というおはなし。
感想:
やっぱり脳出血系は貧困病なんだよ。