元
脳卒中は、歩行やバランスの取り方など、日常的な動作に大きな影響を及ぼす。
多くのリハビリプログラムは、この失われた機能を取り戻すためのトレーニングを提供しているが、トレーニングを「どれだけ続けるか」にだけ重点を置くのではなく、より効果的な方法が求められている。
そこで、脳卒中経験者がリハビリトレーニングだけでなく、その合間に取る「休息」の重要性をあきらかにするべく、新しい歩行パターンの学習と定着においてくわしくしらべてみたそうな。
脳卒中経験者と健常な対照者を対象に「モーターアキュイティタスク(motor acuity tasks)」と呼ばれる、動作の精度を高めるトレーニングを実施した。
具体的には、歩行中に特定の足の軌道を追いかけるという課題を2日間にわたり繰り返し行い、学習過程を「オンライン学習」と「オフライン学習」に分けて評価した。
オンライン学習とは、練習中の改善のことであり、オフライン学習とは、練習と練習の間の休息を通じて進む学習の定着度を指す。
次のようになった。
・脳卒中経験者は、練習の場ではある程度の改善を見せたものの、健常な対照者に比べてその改善具合は緩やかであった。
・一方で、休息期間を挟むことによって、脳卒中経験者はオンライン学習で得られた知識や動作の改善が確実に定着する傾向が強かった。
・「具体的には、1日目の練習終了後に休息を挟んだ場合、翌日には前日よりも精度よく足の軌道を追えるようになる傾向が確認された。
・これにより、リハビリの効果は練習の長さや頻度だけでなく、適度な休息によっても向上し得ることが示された。
今回の研究は、脳卒中リハビリにおいて「休息を活用する」重要性を示している。特に脳卒中経験者は、休息によるオフライン学習効果が対照群よりも大きく、練習後の休憩がリハビリ効果の定着に役立つことがわかった。無理をせず、計画的に休息を取り入れることで、より効率的な機能回復が期待できるといえる、
というおはなし。
感想:
「オフライン運動学習」関連の記事↓