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脳卒中後の患者は、認知機能の低下により生活の質が大きく損なわれる。特に、記憶力や集中力、実行機能といった日常生活に必要な能力の低下が深刻である。
このため、認知機能を維持・改善するための介入が求められている。最近の研究では、食事性のタンパク質の摂取が認知機能や脳の血流(脳血管機能)に影響を与える可能性が注目されているので、タンパク質介入研究のシステマチックレビューを試みたそうな。
タンパク質の摂取が認知機能に与える効果を検証するため、成人を対象とした23のランダム化比較試験(RCT)を系統的にレビューした。
対象とした認知機能は、心理運動速度、注意力、実行機能(作業記憶など)、および記憶力の4つであり、脳血流の変化も評価した。
食事性タンパク質には植物性(ナッツ類、大豆)と動物性(牛乳、肉)タンパク質が含まれ、これらの効果が比較された(Protein)。
次のことがわかった。
・タンパク質摂取は、特に記憶力と実行機能において有益な影響を与える可能性がある。心理運動速度や注意力に関しても一部の改善が見られたが、記憶や実行機能ほど顕著ではなかった。
・ナッツ類や大豆由来の植物性タンパク質は、特に記憶力の向上に効果がある可能性が示唆された。動物性タンパク質(牛乳や肉)の場合、効果に一貫性が乏しいことが示唆されている。
・亜急性期の脳卒中患者では、食事性タンパク質の摂取が認知機能に対して有益に作用する可能性がある。認知機能の向上に伴って脳血流も改善し、回復を促進することが期待される。
食事性タンパク質の適切な摂取は脳卒中後の認知機能の改善に寄与する可能性があると考えられる。特に、ナッツ類や大豆由来の植物性タンパク質の摂取が効果的であり、積極的に取り入れることが推奨される、
というおはなし。
感想:
日本人ならナッツよりも豆腐や納豆が摂りやすそう。