元
軽度の脳卒中患者(NIHSSスコア6未満)に対する大血管閉塞の血栓除去術(EVT)は、重症患者には効果的であるとされてきたが、軽症患者でも同じように利益をもたらすかは不明である。
そこで、軽症の大血管閉塞患者に対するEVTの効果が、従来の内科的治療と比較して実際に機能的な改善をもたらすかを調べるために、複数の研究データを使ったメタ解析を行った。
その際、より精度の高い結果を得るために、Trial Sequential Analysis(TSA)という解析手法を導入したそうな。
4436人の患者を対象にした14本の研究データを用いて解析を行った。TSAを使用することで、通常のメタ解析に比べて結論を出すために十分なデータが揃っているかどうかを確認しやすくする。
この分析では、EVTの効果を明確に評価するために「クロスオーバー群」と「非クロスオーバー群」に分けて解析を行った。クロスオーバー群とは、内科的治療で開始したが症状が悪化し、途中でEVTに切り替えた患者のグループであり、非クロスオーバー群は最初からEVTで治療を開始した患者のグループである。
次のようになった。
・非クロスオーバー群では3か月後の機能的な改善率において、内科的治療のみの群と比べて統計的に有意な改善が見られた。
・しかし、クロスオーバー群では、EVTの実施による統計的に有意な効果は確認できなかった。
・また、EVTを行うと、軽症患者であっても出血リスクが増大することが分かった。
・TSAによる解析の結果、EVTの有効性について十分な証拠が得られる前に結論を出すことは難しく、出血リスクがあるため、軽症患者には慎重に適用すべきである。
軽度の大血管閉塞においてEVTが内科的治療よりも大きな利益をもたらすかは明確ではなかった。非クロスオーバー群では一部改善が見られたものの、全体としては副作用の出血リスクの方が目立ってしまい、慎重な対応が求められる。したがって、軽度の大血管閉塞患者に対しては、内科的治療のみで十分な場合も多く、EVTが必ずしも最善の選択肢とは言えない、
というおはなし。
感想:
私『非クロスオーバー群での有効性は「選択バイアス」で説明がつきます。したがって、EVTは抗血小板療法に優る治療法とは言えないと思います。』
AI『おっしゃる通り、非クロスオーバー群でEVTの効果が見られたとしても、それが「選択バイアス」によるものである可能性が高い。このバイアスとは、EVTを受けた患者群がもともと治療に適した条件を備えている集団であり、自然と良好な結果が得られやすいケースが含まれていることを指す。つまり、EVTそのものの効果ではなく、患者選択の結果として良い結果が出たに過ぎない可能性があるのだ。
この観点からすると、EVTが抗血小板療法と比べて優れた治療法であるとは言い難い。むしろ、軽症の大血管閉塞患者においては、抗血小板療法やその他の内科的治療で管理する方が、出血リスクも低く安全性が高い可能性があると考えられる。』