元
脳卒中後のリハビリテーションにおいて、上肢(腕や手)の回復は多くの患者にとって大きな課題である。
これまで、リハビリに反応しやすい要因はある程度知られていたが、具体的にどのような臨床的特徴がリハビリの効果を予測するかについては十分に解明されていなかった。
そこで、どの要因がリハビリに対する患者(Responders)を見極める手がかりになるか、さらに、リハビリの方法や時間が回復にどのように影響するかをメタアナリシスでしらべてみたそうな。
脳卒中後にリハビリを受けた患者を対象とした前向き研究をまとめた。
上肢の運動機能回復を測定するために用いられる「Fugl-Meyer Assessment for Upper Extremity」(FMA-UE)という指標を中心に、リハビリの効果を評価した。
また、リハビリの時間や方法(例えば、課題指向型アプローチ)によって効果にどのような違いがあるかを比較した。特に、各研究で報告されている予測因子が何かに注目し、それらがリハビリの結果にどう関連しているかを分析した。
次のことがわかった。
・調査した141件の研究のうち、わずか6%の研究のみがリハビリ効果を予測する因子を詳しく調べていた。
・リハビリ時間が30時間を超えると、効果は小から大への範囲で改善を示した(効果量0.38から0.88)。
・特に、課題指向型アプローチが、亜急性期および慢性期(長期回復期)の両方で最大の効果をもたらし、効果量は亜急性期で0.88、慢性期で0.71であった。
・増強的介入(例:電気刺激やロボティクス)は、慢性期において特に効果が高く、10時間以上の実施が有効であった。
・さらに、皮質脊髄路の健全性や残存する運動機能、遺伝的バイオマーカーがリハビリ効果に関連していることが確認された。
脳卒中後の上肢運動機能回復には、リハビリ効果に関連する予測因子のさらなる調査が必要であり、課題指向型アプローチは30時間以上の高用量で最大の効果を発揮する。また、増強的介入は慢性期において特に効果が高く、10時間以上の実施が推奨される、
というおはなし。
感想:
30時間がんばると、なんらかの運動特性が検出限界ギリギリで良くなっているように見えるだけであって、ADL(日常生活動作)が改善するわけではない。↓