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脳卒中は血管の問題が中心と思われるが、実は腸内環境が脳の健康に大きく関与していることが近年の研究で明らかになっている。
腸内細菌が脳卒中リスクにどのように影響するのか、そしてそれをどのように防げるのか、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血(aSAH)と腸内細菌の因果関係を明らかにするため、メンデルランダム化法(MR解析)を用いてくわしくしらべてみたそうな。
18,473人の多様な地域からの遺伝情報を使って腸内細菌とaSAHリスクの因果関係を推測した。MR解析の特徴は、遺伝的変異を使って腸内細菌の影響を調べることで、因果関係を明確にする点にある。この方法は、通常の相関関係を示す観察研究とは異なり、直接的な因果関係を見つけるための強力なツールである。
具体的には、逆分散加重法(IVW)やMR-Egger法、加重中央値法など、複数の統計手法を組み合わせて、腸内細菌がaSAHリスクにどのように影響しているのかを詳細に調べた。腸内細菌の遺伝的指標は、大規模なゲノム解析研究(GWAS)から抽出された。
次のことがわかった。
・いくつかの腸内細菌が脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血(aSAH)のリスクを低下させる可能性があることが明らかになった。特に以下の細菌が注目される。
・Victivallales(ビクティバレス): 腸内の繊維を分解する働きを持つ細菌。この細菌は、腸内の「清掃員」のように機能し、腸の健康を支える。
・Porphyromonadaceae(ポルフィロモナダ科): 免疫系をサポートし、脂肪とタンパク質の代謝を助ける。これは「栄養分配の管理者」として、体内の調和を保つ。
・Lentisphaeria(レンティスファエリア): 腸内バランスの「調整者」。腸内環境を安定させ、他の有害な細菌の増殖を抑える。
・Bilophila(ビロフィラ): 胆汁酸を利用してエネルギーを生成する「エネルギー生産者」。過剰でなければ腸内のエネルギーバランスを整える。
・Fusicatenibacter(フシカテニバクター): 酪酸を生成し、腸内の炎症を抑える「炎症鎮静者」。腸の健康を守る重要な細菌だ。
・Ruminococcus1(ルミノコッカス1): 食物繊維を分解する「繊維分解職人」。腸内で酪酸を生成し、腸のバリア機能を強化する。
・これらの細菌が多いと、くも膜下出血リスクが減少する可能性があることが、MR解析によって初めて科学的に示された。
腸内細菌がくも膜下出血のリスクに大きな影響を与える可能性を示唆している。特に、酪酸を生成する細菌や腸内環境のバランスを保つ細菌が重要な役割を果たすと考えられる。腸内の細菌バランスを整えることで、くも膜下出血の予防ができる可能性がある、
というおはなし。
感想:
だから長芋、なっとう、ヨーグルトを毎日たべてる。