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未破裂脳動脈瘤(UIA)は、脳の血管に膨らみができる状態で、破裂すると脳出血などの重大な健康リスクを引き起こすことがある。
UIAが発見された場合、予防的に手術を行うか、経過観察をするかの判断が必要となる。
しかし、予防的な治療が長期的に認知機能にどのような影響を及ぼすかは十分に解明されていなかったので、くわしくしらべてみたそうな。
韓国のNational Health Insurance Service-Senior Cohortデータベースを使用して、60〜80歳の高齢者のデータを解析した。
UIAが発見された患者を「治療群(手術または血管内治療)」と「観察群」に分け、10年間にわたり認知症の発症リスクを比較した。
データの偏りを防ぐために、1対1の傾向スコアマッチングを行い、治療群と観察群で合計7,526人が分析対象となった。
また、手術と血管内治療を受けた患者の間でも認知症リスクを比較し、さらに性別や年齢、脳卒中の既往歴による影響も分析した。
次のことがわかった。
・治療群と観察群の間で認知症リスクに有意な差は見られなかった。治療群の認知症発症率は1,000人年あたり9.82件、観察群では8.68件であった(ハザード比1.11、P=0.33)。
・また、外科的治療と血管内治療の比較でも、認知症リスクに有意な差は確認されなかった(ハザード比0.98、P=0.91)。
・一方で、男性患者に限っては外科的治療を受けた場合に認知症リスクが高まる傾向が見られた(ハザード比2.34、P=0.04)。この結果は、外科的治療が脳に与える影響が、特に男性で顕著である可能性を示唆している。
未破裂脳動脈瘤に対する予防的治療は、全体としては認知症リスクを有意に増加させることはないことが明らかになった。しかし、特に男性患者においては、外科的治療が認知症リスクを2.34倍に増加させることが有意に示され、慎重な検討が必要である、
というおはなし。
感想:
未破裂瘤がたまたまみつかっただけで
切迫した症状がなにもない者に対して危機をあおり、
まともな根拠のない手術をつよく勧めるための道具としてMRIが「悪用」されている。
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