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中国における若年層の脳卒中による死亡率と失われた生存年数(YLL)は、社会や医療制度にとって重要な課題である。
脳卒中の種類は主に脳内出血(ICH)、脳梗塞(IS)、くも膜下出血(SAH)の3つに分けられるが、それぞれで死亡率や影響に差がある。
そこで、中国の若年層(15〜49歳)を対象に、2005年から2020年までの脳卒中による死亡率の推移とYLLについてくわしくしらべてみたそうな。
研究のデータは、中国の「全国死亡監視システム」から取得され、全国および31の省における若年層の脳卒中死亡率とYLLの年次変化が分析された。
死亡率は、各年齢の死亡者数を年齢構成に合わせて調整し、比較可能な「年齢標準化死亡率」として算出されている。
また、YLL(失われた生存年数)は、脳卒中で早期に命を失ったことで、どれだけの潜在的な人生年数が失われたかを示す指標であり、疾患の負担を評価する重要な数値である。
次のことがわかった。
・2005年から2020年の間に、中国の若年層の全体的な脳卒中死亡率は減少傾向を示しており、年齢標準化死亡率は5.9から4.7へと約21%減少した。YLLも同様に約20%減少している。しかし、脳卒中の種類による死亡率の違いは大きい。
・脳内出血(ICH)の死亡率は減少傾向にあるものの、依然として他の脳卒中タイプと比べて非常に高く、2020年のICHの死亡率は虚血性脳卒中(IS)の3.5倍にも及ぶ。
・脳梗塞(IS)は、男性で死亡率がわずかに増加しており、若年男性における健康リスクとして注目されている。
・くも膜下出血(SAH)は、全体的な死亡率はほぼ横ばいだった。
中国の若年層において、脳内出血(ICH)の死亡率は依然として非常に高い水準にある。一方、脳梗塞(IS)の死亡率は男性で増加傾向が見られ、くも膜下出血(SAH)は全体的には横ばいである。失われる生存年数(YLL)を減少させるためには、早期の予防と迅速な治療が不可欠である、
というおはなし。
感想:
死亡率は脳内出血が脳梗塞の3.5倍で、この高さはチベットなど高地住民が引き上げている可能性がある、とのこと。