元
急性脳内出血(ICH)は発生率は低いものの、高い死亡率を伴うことが広く知られている。
いっぽう、腸内細菌とさまざまな種類の脳卒中との関連は、ますます研究されるようになってきている。
そこで、早期の軽度から中等度の脳内出血(emICH)と腸内微生物群との関連をくわしくしらべてみたそうな。
emICH患者50名および健康な個人50名の合計100名から糞便サンプルを収集し、腸内微生物群を特定するために16S rRNA遺伝子アンプリコンシーケンシングを用いて分析した。
次のことがわかった。
・各グループには異なる微生物群が存在し、emICH患者は微生物の多様性および均一性が低下していることが示された。
・emICH患者の腸内微生物群の組成には顕著な変化が認められ、Euryarchaeota門に属する炎症促進性の微生物が増加し、有益なBacteroidetes種が減少していることが特徴であった。
・emICH患者の腸内では、特定の細菌同士がグループを作り、独特の関連性やパターンを持って存在していることが確認された。これは、emICH患者に特徴的な腸内環境の変化を示している。
・腸内細菌の分析で、WAL_1855D、Methanobrevibacter、Streptococcusなど6つの細菌(バイオマーカー)に基づき、emICH患者と健康な個体を区別できた。診断精度はAUC 0.845と高く、これらの細菌がemICHの診断に役立つ可能性が示された。
・KEGG解析では、emICH患者の腸内細菌が主に代謝機能や炎症応答に関連する複数の経路で異常を示していることがわかった。これらの経路の乱れは、emICH患者で見られる代謝の不調や炎症反応の活性化と関連しており、腸内環境の変化が疾患の進行や症状に影響を与えている可能性があることを示唆している。
・予測プロファイリングの結果、emICH患者では、健康な人に比べて、グラム陰性菌(感染や炎症を引き起こしやすい細菌)や、免疫が弱ったときに悪さをする「日和見病原菌」の数が多い可能性が高いことが示された。
早期軽中等度の脳内出血emICH患者の腸内細菌叢は乱れており、主に炎症促進性微生物の増加、炎症シグナル伝達経路の活性化、および代謝の不調が特徴である。腸内細菌を調節することがemICH治療を補完するアプローチとなる可能性がある、
というおはなし。
感想:
わかいころから下痢しやすいのも関係あったのかな、、とおもう。