元
骨粗鬆症(OP)という骨がもろくなる病気が、脳卒中とどのように関わっているかはよくわかっていない。
そこで、「Mendelian Randomization(MR)解析」という手法をもちいて、観察研究でよくある「どちらが原因でどちらが結果か分からない」という逆因果の問題を解決し、因果関係をあきらかにするべくくわしくしらべてみたそうな。
この研究では、MR解析を用いて脳卒中と骨粗鬆症の因果関係を調べた。
MR解析では、遺伝子データを利用して、病気のリスク要因(ここでは脳卒中や骨粗鬆症)と結果(骨粗鬆症の発症や骨折のリスクなど)との関係を明らかにする。
遺伝子は出生前に決まるため、生活習慣や環境の影響を受けずに「自然な無作為化」が行われていると考えられる。
この研究では、欧州人集団の大規模なゲノムワイド関連解析(GWAS)データを使い、脳卒中とそのサブタイプ(例えば、大血管動脈硬化性脳卒中)と骨粗鬆症やその関連病状との因果関係を解析した。
次のことがわかった。
・まず骨粗鬆症が脳卒中のリスクを高める因果関係が示された。骨粗鬆症を持つ人は、特に小血管性脳卒中(SVS)のリスクが有意に高くなることが確認された(オッズ比 [OR]: 1.08, 95% 信頼区間 [CI]: 1.01-1.14, P = 0.021)。
・これは、骨密度の低下や骨代謝の異常が血管の健康にも悪影響を及ぼし、脳卒中の発症につながる可能性を示唆している。
・逆に、脳卒中が骨粗鬆症のリスクを高める因果関係も確認された。脳卒中全体で骨粗鬆症のリスクが約1.39倍に増加し、特に大血管動脈硬化性脳梗塞(LAS)の場合骨粗鬆症(OP)のリスクが1.29倍に増加することが示された。
・さらに、閉経後の女性に多い病的骨折を伴う骨粗鬆症においても、脳卒中がOPリスクを高めることが確認された(OR: 1.75, 95% CI: 1.06-2.90, P = 0.030)。
骨粗鬆症(OP)と脳卒中が互いにリスクを高め合う因果関係にあることが示された。具体的には、骨粗鬆症を持つ人は特に小血管性脳卒中(SVS)のリスクが高まることがわかった。また、逆に脳卒中が骨粗鬆症や病的骨折のリスクを増加させることも確認された。このように、両疾患は相互に影響し合い、一方が他方のリスクを高める双方向の因果関係にあることが明らかになった、
というおはなし。
感想:
骨を強くすれば脳卒中を防げるし、脳卒中を避けれれば骨も強く保てるってこと。