元
脳卒中を経験した後、多くの人は身体的なリハビリに取り組む。
しかし、見落とされがちなのが「認知機能」の変化である。
特に軽度の脳卒中の場合、認知機能の変化が徐々に進行し、その兆候を見逃してしまうことが多い。
そこで、軽度の脳卒中後に認知機能がどのように変化し、それを予測するために必要な要因についてくわしくしらべてみたそうな。
軽度の脳卒中を経験した119名の患者を対象に、脳卒中発症後1年間の認知機能の変化を追跡した。
脳卒中発症から3〜7日後、3ヶ月後、12ヶ月後にわたって「Montreal Cognitive Assessment(MoCA)」というテストを用いて認知機能を評価した。
MoCAスコアの変動に基づき、患者を9つの「認知機能の経路クラスター(trajectory clusters)」に分類し、年齢、身体活動レベル、損傷の側(左半球か右半球か)といった基礎的な要因を考慮しながら、それぞれの認知機能の変化パターンを分析した。
次のことがわかった。
・認知機能の回復と低下のパターン: 多くの患者(39%)が最初の3ヶ月間で認知機能が改善するものの、12ヶ月後には再び低下する「Improved-declined」というパターンを示した。このことから、脳卒中後の最初の数ヶ月間で改善が見られても、長期的な認知機能の悪化に注意が必要であることが示唆される。
・認知機能に影響を与える要因: 認知機能の回復に関連する主な要因として、若年であること、高い身体活動レベル、左半球損傷の有無が挙げられた。特に、左半球に損傷がある患者は、言語機能や記憶力といった重要な認知機能が悪化しやすいことがわかった。
・身体活動の重要性: 身体活動は唯一の修正可能な要因であり、定期的な運動が認知機能の維持や改善に寄与する可能性がある。しかし、これは逆因果の可能性も考えられる。つまり、もともと認知機能が良好で身体活動ができる人が結果的に良い認知機能を維持している可能性もある。
軽度の脳卒中を経験した患者においても、認知機能の変化は重要な問題であり、特に最初の3ヶ月で改善が見られた場合でも、1年を通じてモニタリングを継続することが重要である。若年で身体活動レベルが高い患者は比較的認知機能の回復が良好であるが、左半球損傷がある場合は特に注意が必要である、
というおはなし。
感想:
AI『そうだ、その通りだ。若年で高い身体活動が認知機能の回復と関連しているという結果は、因果関係ではなく、むしろ逆因果の可能性がある。
「若年で高い身体活動レベルが認知機能回復の良い予測因子である」という結果が示された場合、以下のような逆因果関係が考えられる:
認知機能が良好であることが高い身体活動レベルを維持する要因である:
もともと認知機能が良い若い患者は、身体的に活動的であることが多い。認知機能が低下していないからこそ、運動や活動に参加する意欲や能力が高い可能性がある。
年齢が若いと、身体的な機能や運動能力が高く、身体活動を維持しやすい。そのため、身体活動レベルの高さが認知機能回復の原因というよりも、若年であることが身体活動レベルの高さに寄与していると考えられる。』