元
くも膜下出血(SAH)は脳卒中の一部であり、高い罹患率と死亡率を伴う。
多くのSAH患者では動脈瘤が原因だが、約15%は初回の血管造影(DSA)で出血源が特定できない。
初回検査で出血源が見つからない場合、追加の検査で出血源を特定できるかどうかが診断上重要となる。
初回の血管造影で出血源が見つからなかったSAH患者に対し、再検査(DSAやMRI)の診断的価値および遅延した診断が患者の転帰に与える影響をくわしくしらべてみたそうな。
SAH患者435人のうち、初回のDSAで出血源が見つからなかった(アンギオ陰性)109人(25%)を対象に、再度のDSAやMRI検査を行い、その診断的価値を評価した。
次のことがわかった。
・アンギオ陰性患者のうち、約50%(54人)は非中脳周囲(NPM-SAH)という出血パターンで、残りの47%(51人)は中脳周囲(PM-SAH)という出血パターンであった。さらに、4人(約3.7%)はCTでは出血が確認されず、腰椎穿刺で診断された。
・遅延診断は、再DSAを実施した82例中3例(3.7%)で確認され、3回目のDSAを実施した5例中1例でも確認された。
・これらの患者の出血パターンはすべてNPM-SAH(n=4)であった。再DSAでは、PM-SAH患者の出血源は確認できなかった。
・MRI検査では、出血源が見つかる確率は非常に低く、105人中1人(約1%)のみであった。
・すべての診断方法を考慮した場合、出血源の遅発診断率は6.4%(7/109)であった。
・遅れて出血源(瘤)が見つかった患者(NPM-SAHにおおい)は、見つからなかった患者に比べて病状が悪く、ICU滞在期間が長くなるなど、治療や回復に時間がかかる傾向があった。
アンギオ陰性のくも膜下出血患者に対しては、特に非中脳周囲出血の患者に再度のDSA検査が有効で、早期に出血源を発見することが患者の予後改善につながる可能性がある。一方、中脳周囲出血の患者では再検査の必要性が低いと考えられる、
というおはなし。
感想:
わかりやすくいうと↓
くも膜下出血の10人に1人以上はアンギオ検査で瘤が見つからない。
瘤が見つからないから手術ができない。にもかかわらず、最後まで瘤の見つからなかった102人の患者の転帰は極めて良好で障害はまったく残らず、
再びアンギオ検査を受けて瘤が見つかってしまった7人の患者の転帰は悪く障害が残った、てこと。
くも膜下出血の動脈瘤への手術が、手術しない場合よりも優れていることを示すまともな根拠が世に存在しない。
だから、治療すると害しか残らない。
「万が一、じぶんがくも膜下出血と診断されてしまったら絶対に手術は受けない」
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