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プラスチックが日常生活に深く根付いている現代、プラスチック製品が破片化して生じる微小なプラスチック粒子、すなわちマイクロプラスチック(MP)とナノプラスチック(NP)は、地球環境だけでなく、私たちの健康にも大きな影響を及ぼすことが懸念されている。
特に、脳卒中経験者にとって、これらの粒子がどのように影響を与えるかを理解することは重要である。
マイクロナノプラスチック(MNP)は非常に小さなサイズのため、食事や飲み物、空気、さらには皮膚からも体内に取り込まれる可能性がある。研究によると、MNPの一部は体内で肺や腸の粘膜を通過し、血流に乗って体内を巡り、臓器に到達することが示されている。特に、ナノサイズのMNP(NP)は100ナノメートル以下のサイズであり、血液脳関門(BBB)を通過する可能性があるとされる。これは、脳への影響が懸念されるため、脳卒中経験者にとって特に注意が必要な点である。
最新の研究では、MNPが動脈硬化プラーク(アテローム)に蓄積されていることが確認されており、この蓄積が脳卒中や心筋梗塞、そして死亡リスクの増加と関連していることが示唆されている。具体的には、頸動脈のアテロームにMNPが存在する患者は、MNPが存在しない患者に比べて、脳卒中や心血管イベントのリスクが高いことが報告されている。このことから、MNPの体内侵入が炎症反応を引き起こし、脳卒中の発症リスクを高める可能性があると考えられる。
プラスチックには多くの添加物が含まれており、その中には内分泌かく乱物質(EDC)と呼ばれる化学物質も存在する。EDCは、ホルモンバランスの乱れを引き起こし、肥満、糖尿病、がん、不妊など、さまざまな健康リスクを増大させることが知られている。特に、EDCが体内に蓄積することで、神経系にも影響を及ぼす可能性がある。
脳卒中経験者としては、日常生活におけるMNP曝露をできるだけ避けることが重要である。例えば、プラスチック製品に保存された飲み物や食品を避けること、合成繊維からのマイクロファイバー放出を減らすために室内の換気や空気清浄を心がけることも推奨される。
MNPとその添加物がもたらす健康リスクについては、まだ研究段階にある部分も多いが、これらが脳卒中のリスクを高める可能性があることが示唆されている。したがって、脳卒中経験者は、日常生活におけるMNPへの曝露を減らし、健康を守るための対策を講じることが求められる、
というおはなし。
感想:
ナノプラスチックが正常皮膚や血液脳関門を通過するってはじめて知った。