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脳卒中は、迅速かつ正確な診断が求められる緊急の神経疾患である。
早期の診断ができれば、患者の予後を大きく改善することができる。
しかし、脳卒中の診断は高度な専門知識と経験が必要であり、全ての医療機関で迅速な対応が可能なわけではない。
ここで期待されるのが、AI(人工知能)の力である。近年のAI技術の進歩は、医療分野にも大きな変革をもたらしている。
特に、画像診断におけるAIの活用が注目されているので、「ChatGPT-4V」というAIが脳卒中の診断補助にどのように役立つかをくわしくしらべてみたそうな。
ChatGPT-4Vの画像解析能力を評価するために、急性脳卒中患者と正常な被験者の拡散強調画像(DWI)および表面拡散係数(ADC)マップを用いた。
研究は2022年から2024年の間に取得された530のMRI画像を対象とし、そのうち266が脳卒中患者、264が正常な被験者のものであった。
研究では、AIに対して4つの質問を設定し、それぞれ10回ずつ繰り返して回答の一貫性と正確性を検証した。この際、経験豊富な放射線科医がAIの回答を「正確」または「不正確」と判断した。
次のようになった。
・ChatGPT-4Vは急性脳卒中の診断において、一定の正確性を示した。具体的には、MRIシーケンスの識別では88.3%の正確性を示し、拡散制限の検出では79.5%の正確性を達成した。
・また、急性脳卒中の診断における拡散制限の検出に関するAIの感度(真陽性率)は79.57%であり、特異度(真陰性率)は84.87%と比較的高い値を示した。これは、実際に脳卒中である場合にAIが正しく「脳卒中あり」と判断する割合(感度)と、正常な場合に正しく「異常なし」と判断する割合(特異度)を示している。
・ただし、脳の特定の半球や特定の脳葉を識別する精度はそれぞれ26.2%と20.4%と低く、AI単独での診断にはまだ課題が残ることが示された。
今回の研究結果は、AIが脳卒中診断において有用な補助ツールとなる可能性を強く示唆している。特に、脳卒中の早期診断においてAIのスピードと精度が活用されれば、医療現場での負担を軽減し、より迅速な治療決定が可能になるかもしれない、
というおはなし。
感想:
ChatGPT-4Vは、医療目的のAIではない。それでもこの精度。
医療器メーカーではすでに読影医がまったく必要なくなるくらいにはトレーニングされたAIができているんだろうけど、長年ご愛顧いただいたお客様に牙をむくようなまねができるはずもないと悩んでいるのかも。