元
味覚や嗅覚の異常は、神経変性疾患や心血管リスク要因と関連することが知られているが、これらの異常が脳卒中リスクにどのように影響するかは不明であった。
そこで、中国における大規模なコホートを対象に、味覚および嗅覚の異常が脳卒中リスクに与える影響をくわしくしらべてみたそうな。
2006年から開始されたKailuan研究を基にし、対象となった85,656名(平均年齢51.0歳)は、心血管疾患、癌、認知症、パーキンソン病、頭部外傷を有しない者であった。
2014年から2016年にかけて、参加者は味覚および嗅覚の異常についての自己報告アンケートに回答した。
「少なくとも3ヶ月以上、物が味わえない、匂いが感じられない、または本来の味や匂いと異なると感じることがありましたか?」という質問に「はい」と回答した者が、味覚または嗅覚の異常があると認定された。
その後、平均5.6年間の追跡期間中に発生した脳卒中の症例を医療記録を用いて確認し、Cox比例ハザードモデルを用いて、味覚および嗅覚の異常と脳卒中リスクとの関連を評価した。
次のことがわかった。
・追跡期間中に2,198件の脳卒中症例が記録された。
・味覚異常を報告した者は、脳卒中のリスクが2倍以上であった(調整ハザード比: 2.03, 95%信頼区間: 1.36-3.04, P < 0.001)。
・一方で、嗅覚異常については、脳卒中リスクとの有意な関連は見られなかった(調整ハザード比: 1.22, 95%信頼区間: 0.79-1.90, P = 0.34)。
・これらの関連は、脳出血については有意ではなかった。
・慢性疾患(高血圧、糖尿病、慢性腎疾患、過体重/肥満)の存在が、味覚異常と脳卒中リスクの関連を部分的に媒介していることが示された。
大規模研究により、味覚異常が脳卒中リスクを倍増させることがわかった。早期に味覚異常を認識することが、脳卒中リスクの低減に寄与する可能性がある、
というおはなし。
感想:
味覚異常によって、塩や脂肪を摂りすぎて脳卒中をまねく、メカニズムではないかと言ってる。