元
脳卒中後の認知機能障害(PSCI)は、多くの患者にとって重大な問題であり、日常生活動作(ADLs)や介護者負担にも大きな影響を与える。
近年、音楽療法が認知機能の改善に寄与する可能性が示唆されているが、特に個別化された音楽リスニングの効果についてはまだ十分な研究が行われていない。
そこで、個別化された音楽リスニングがPSCI患者の認知機能および関連する機能に与える影響をランダム化対照試験(RCT)でくわしくしらべてみたそうな。
脳卒中後の認知機能障害(PSCI)を持つ患者を対象に、音楽群と対照群にランダムに割り付けた。
音楽群には、患者個人の文化的背景、人生経験、音楽の好みに基づいて作成された個別化された音楽プレイリストが提供された。
具体的には、患者とセラピストとのインタビューを通じて、患者が過去に聴いた音楽や重要な出来事と関連する音楽を特定し、それを基に12曲からなる約1時間のプレイリストを作成した 。
一方、対照群にはホワイトノイズ(雨音、波音、鳥の鳴き声など)のプレイリストが提供された。
両群とも、毎日1時間、3ヶ月間リスニングを行った。
セラピストは週に一度、患者や介護者と連絡を取り、プレイリストを聴くようリマインドし、必要に応じてプレイリストを調整した。
次のようになった。
・音楽群は対照群に比べて認知機能、日常生活動作(ADLs)、および介護者負担において有意な改善を示した。
・特に、モントリオール認知評価(MoCA)スコアにおいて、音楽群の平均スコアが19.61ポイントから25.33ポイントに改善し、対照群の22.12ポイントと比較して有意な差が見られた。
・認知機能の具体的な改善項目としては、遅延再生(Delayed Recall)と見当識(Orientation)が特に顕著であり、遅延再生のスコアが音楽群で有意に改善した。
・また、日常生活動作(Barthel Index)や介護者負担(Zarit Caregiver Burden Interview)においても、音楽群が対照群よりも有意に高い改善を示した。
個別化された音楽リスニングが脳卒中後の認知機能障害および日常生活動作(ADLs)、介護者負担の改善に有効であることを示した。特に、患者個々の好みや背景に合わせた音楽が、遅延再生や見当識の改善に寄与することが明らかになった、
というおはなし。
感想:
音刺激はいいのよ。