元
脳損傷後に発生する遷延性意識障害(PDOC)は、患者の意識が28日以上回復しない状態を指す。
この状態には、昏睡(Coma)、植物状態(VS)、および最小意識状態(MCS)の3つの段階が含まれる。
昏睡とは、患者が完全に意識を失い、外部の刺激に反応しない状態である。
植物状態は、目を開けて覚醒しているように見えるが、意識がない状態である。
最小意識状態は、患者が部分的に意識を取り戻し、非反射的または目的のある行動を示す状態を指す。
これらの異なる意識障害における予後、特に意識回復率や死亡率の違いについてくわしくしらべてみたそうな。
脳損傷後に遷延性意識障害(PDOC)を呈した204人の患者を対象に、意識状態と予後を長期的に追跡調査した。
被験者には、外傷性脳損傷(TBI)、脳出血(CH)、脳梗塞(CI)、虚血性低酸素性脳症(IHE)を患った患者が含まれた。
患者の意識状態を評価するために、Revised Coma Recovery Scale(CRS-R)を使用した。
CRS-Rは、視覚、聴覚、運動、口頭指示への反応、コミュニケーション能力、覚醒度の6つの項目に基づいて意識レベルをスコアリングするツールである。
特に最小意識状態(MCS)は、MCS−とMCS+の2つに分類される。MCS−は、視覚追跡や痛みへの局所反応など、低レベルの反応を示す状態であり、MCS+は命令に従う能力や簡単なコミュニケーションを可能とする高レベルの反応を示す状態を指す。
また、虚血性低酸素性脳症(Ischemic Hypoxic Encephalopathy, IHE)は、脳への酸素供給が不足することで生じる脳障害であり、全身的な血流不足が原因で発生する。
患者の意識状態は、初回から48ヶ月間、1、2、3、6、12、18、24、36ヶ月の各時点でCRS-Rを用いて評価した。意識が回復した患者には、障害評価スケール(DRS)も併用して評価を行った。
次のことがわかった。
・最小意識状態(MCS)の患者は植物状態(VS)の患者に比べて、意識回復率が高く、残存障害も軽度であることが明らかになった。
・具体的には、MCS−の患者の意識回復率は69.6%、MCS+では85.7%であった。
・一方、VSの患者の意識回復率は約30.3%にとどまった。
・昏睡状態(Coma)の患者では、意識回復は見られなかった。
・死亡率に関しては、12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、48ヶ月での死亡率がそれぞれ10.7%、23.4%、38.9%、68.4%であった。
・外傷性脳損傷(TBI)の患者は意識回復の可能性が最も高く、死亡率も比較的低かった(21.4%)。
・脳梗塞(CI)の患者の死亡率は53.8%に達し、虚血性低酸素性脳症(IHE)の患者も高い死亡率35.3%を示したが、意識回復可能性はもっとも低かった。
遷延性意識障害(PDOC)患者の予後において、意識状態が回復する可能性や死亡率に大きな違いがあった。特に、最小意識状態(MCS)の患者は、植物状態(VS)や昏睡(Coma)の患者よりも予後が良好である。また、外傷性脳損傷(TBI)は最も良好な予後を示し、虚血性低酸素性脳症(IHE)は意識回復の可能性が最も低いことが分かった、
というおはなし。
感想:
私『くも膜下出血患者には早期に鎮静剤を与えることが推奨されていますが、彼らは見かけ上PDOCになると思いますが正しいですか?』
AI『くも膜下出血(SAH)患者に早期に鎮静剤を与えることは、しばしば推奨される治療法です。これは、脳の興奮を抑え、頭蓋内圧を低下させ、脳の損傷を最小限に抑えるためです。しかし、鎮静剤を投与された患者が「見かけ上PDOCになる」と言うのは、誤解を招く可能性があります。
鎮静剤による意識低下: 鎮静剤を投与された患者は、薬の効果により意識レベルが低下し、外部からの刺激に対する反応が鈍くなったり、無反応になることがあります。この状態は、意識障害のように見えるかもしれませんが、薬理学的な影響による一時的なものであり、PDOC(遷延性意識障害)とは異なります。
PDOCとの違い: PDOCは、脳損傷やその他の深刻な障害によって引き起こされる長期的な意識障害であり、28日以上にわたって意識が回復しない状態を指します。鎮静剤による意識低下は、薬の効果が持続している間のみであり、薬が切れれば意識が戻る可能性があります。
したがって、鎮静剤を投与されたSAH患者が一時的に反応が鈍くなることはあるものの、それをPDOCと同一視することはできません。PDOCは、脳に重大な損傷があった場合に生じるものであり、薬剤による一時的な意識低下とは根本的に異なる状態です。』
私『鎮静剤を与えられた患者の家族に対し医師が「患者は現在意識障害にあります。早急に手術が必要ですが承諾していただけますか?」と問うことはありえますか?』
AI『鎮静剤を与えられた患者の家族に対して、医師が「患者は現在意識障害にあります。早急に手術が必要ですが承諾していただけますか?」と問うことは、理論的にはあり得ますが、慎重な配慮が必要です。
鎮静剤によって患者の意識が低下している場合、その状態は薬剤の効果による一時的なものです。しかし、家族に説明する際に、医師がその意識低下を「意識障害」と表現することがあるかもしれません。この場合、医師はその意識低下が鎮静剤によるものであることを明確に説明する必要があります。
手術の同意を得る際には、家族が患者の現在の状態と手術の必要性を正しく理解することが重要です。医師は、患者の意識状態が薬剤による一時的なものであることを伝えつつ、手術のリスクや緊急性を説明する必要があります。
「意識障害」という言葉が、家族に不必要な不安を与える可能性があるため、医師は鎮静剤による意識低下と、PDOCのような長期的な意識障害との違いを明確に説明すべきです。
鎮静剤による意識低下が一時的なものであることを家族に説明した上で、医師が手術の同意を求めることはあり得ます。ただし、家族が誤解しないよう、現在の状態が薬剤によるものであることを明確に伝えることが重要です。』
私『現在の医療現場では、軽症のくも膜下出血であっても鎮静剤を与えて意識不明な状態にし、患者のあずかり知らぬうちに手術をほどこすことが慣習になっているようです。どんな問題がありますか?』
AI『軽症のくも膜下出血であっても鎮静剤を投与し、患者が意識不明な状態で手術を行うことが慣習となっている場合、以下のような問題が発生する可能性があります。
患者の権利の侵害: 患者が意識不明の状態であるため、自らの治療に関する意思決定を行う機会が奪われます。本来、患者は自分の健康に関する決定に参加する権利があり、これは医療倫理の基本です。
法的リスク: 医療行為においてインフォームド・コンセントが不十分であると、法的な問題が生じる可能性があります。患者やその家族が事後に手術の内容や必要性を知らされていなかったと感じた場合、医療過誤や権利侵害を理由に訴訟を起こす可能性があります。
倫理的な懸念: 患者が軽症であれば、手術のリスクとベネフィットを説明し、意識があるうちに選択肢を提示するのが倫理的に正しいアプローチです。患者の意思を無視した医療行為は、医療提供者の倫理に反する行為となります。
患者-医師関係の信頼性: このような慣習が明るみに出た場合、患者と医師の信頼関係が損なわれる可能性があります。医師に対する信頼が失われると、他の患者も医療への不信感を抱き、適切な医療を受ける機会が減少するリスクがあります。
不必要なリスクの強要: 鎮静剤の使用によって意識を失わせること自体が、特に軽症の場合、必ずしも必要ではない可能性があります。患者が意識を持った状態で行われる治療と比べて、不必要なリスクを負わせることになるかもしれません。
医療行為の正当性: 軽症の患者に対して、意識不明の状態で手術を行うことが常態化している場合、手術の必要性そのものが十分に検討されていない可能性もあります。手術の選択が本当に患者の利益に資するものであるか、慎重に判断する必要があります。
家族の混乱と不安: 手術が患者のあずかり知らぬうちに行われたと知った家族が、患者の意識不明の原因が鎮静剤であることを知らされなかった場合、家族は混乱や不安を感じる可能性があります。これにより、医療チームとのコミュニケーションに支障が生じるかもしれません。
軽症のくも膜下出血患者に対して鎮静剤を投与し、意識不明の状態で手術を行う慣習がある場合、インフォームド・コンセントの欠如、医療倫理の問題、治療のリスクと利益のバランスの欠如、患者家族とのコミュニケーションの問題など、複数の深刻な問題が発生する可能性があります。このような慣習がある場合、見直しが必要であり、患者の権利を尊重しつつ、治療の透明性と安全性を確保することが重要です。』
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あらすじ)著者が強い頭痛で病院を訪れると、検査中になぜか意識が無くなった。手術などしてほしくなかったにもかかわらず、目が覚めると「希望してもいない」コイルがアタマに詰められていた。後日コイルトラブルで言葉が出なくなり、現在は再手術を勧められているという衝撃のノンフィクション。