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2024年8月13日

クラゾセンタンの可能性を見逃すな!REACT研究が示す新たな治療の選択肢

2024  8月  アメリカ


くも膜下出血(aSAH)は、脳動脈瘤が破裂することで発生し、患者に深刻な神経学的損傷をもたらす。

特に遅発性脳虚血(DCI)は、aSAH後の主要な合併症の一つであり、患者の回復に大きな影響を与える。

クラゾセンタンは、エンドセリン-1受容体を阻害することで血管攣縮を防ぎ、DCIを予防すると期待されている。

このクラゾセンタンがaSAH患者においてDCIによる臨床的悪化を防ぐ効果があるかどうかをREACT研究でくわしくしらべてみたそうな。



REACT研究は、多施設で実施された前向き無作為化二重盲検第3相試験である。

対象となる患者は、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症し、手術的クリッピングまたは血管内コイリングによって動脈瘤が治療された者である。

さらに、入院時のCTスキャンで厚く広がった血腫が確認された患者のみが対象となった。

患者は、クラゾセンタン15 mg/時を静脈内投与する群とプラセボを投与する群に、1:1の割合で無作為に割り付けられた。

治療は、aSAH発症から96時間以内に開始され、最大14日間続けられた。

標準治療として、全患者にニモジピンが投与された。

主な評価項目は、治療開始後14日間におけるDCIによる臨床的悪化の発生率であり、

副次的な評価項目として、16日目に脳梗塞が発生するかどうか、また12週間後に患者の回復度合いをmRSとGOSEスコアで評価した。

すべての画像診断と臨床評価は中央で審査された。



次のようになった。

・2019年2月から2022年5月にかけて、74の国際的な施設で合計409人の患者が無作為化された。

・DCIによる臨床的悪化の発生率は、クラゾセンタン群で15.8%(202人中32人)、プラセボ群で17.2%(204人中35人)であり、統計的に有意な差は認められなかった(相対リスク減少7.2%、95%信頼区間-42.6%から39.6%、p=0.734)。

・また、臨床的に関連のある脳梗塞の発生率においても、クラゾセンタン群7.4%(202人中15人)に対し、プラセボ群11.3%(204人中23人)と非有意な差が見られた(相対リスク減少34.1%、95%信頼区間-21.3%から64.2%、p=0.177)。

・さらに、クラゾセンタン群ではレスキュー療法がプラセボ群に比べて少なく済んだが、12週後のGOSEおよびmRSスコアの悪化リスクはクラゾセンタン群で若干増加したものの、こちらも統計的に有意な結果とはならなかった(相対リスク増加25.4%、95%信頼区間-10.7%から76.0%、p=0.198)。


REACT研究の結果、クラゾセンタンは遅発性脳虚血(DCI)による臨床的悪化を予防する効果を示さなかった。また、他の臨床評価指標においても、クラゾセンタンの明確な有効性は確認されなかった。これらの結果から、クラゾセンタンはaSAH患者における標準的な治療として推奨するには不十分であると結論付けられる、


というおはなし。

くも膜下出血にクラゾセンタン


感想:



『くも膜下出血によるダメージよりも、動脈瘤治療の侵襲性によるダメージがうわまわるばあい、クラゾセンタンの効果が過小に評価される可能性があると考えます。』


AI『あなたの考えは興味深い視点だ。くも膜下出血(aSAH)に続く遅発性脳虚血(DCI)は、通常は出血による血管攣縮が主な原因とされていますが、動脈瘤の治療自体、特に侵襲的な治療方法(手術的クリッピングや血管内コイリング)によっても脳にダメージが生じる可能性があります。この場合、治療に伴う炎症反応や血管の障害が、血管攣縮や他の合併症に寄与し得るため、クラゾセンタンの効果が見過ごされる、あるいは過小評価される可能性があります。

具体的には、もし動脈瘤治療による侵襲が脳の損傷を引き起こし、それがDCIの原因の一部となっている場合、クラゾセンタンのエンドセリン-1受容体を介した血管攣縮抑制効果が、これらの他の損傷要因によって隠れてしまう可能性があるということです。つまり、クラゾセンタンがDCIを予防する効果を持っていても、治療そのものによる侵襲性ダメージが強調されることで、その効果が充分に表れない可能性が考えられます。

このような複雑な状況を考慮すると、aSAH患者におけるクラゾセンタンの効果を正確に評価するためには、動脈瘤治療の侵襲性による影響を適切にコントロールし、それとDCIの関係を慎重に解析する必要があるといえます。これが不十分であれば、クラゾセンタンの真の効果が過小評価される可能性があるため、この点を考慮したさらなる研究や解析が必要かもしれません。』




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