元
脳出血は重篤な脳疾患であり、その治療法は患者の生存率や生活の質に重大な影響を与える。
特に脳動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)や自然発生性脳内出血(ICH)の治療において、適切なガイドラインの重要性は言うまでもない。
しかし、最新の研究によると、これらのガイドラインに基づく推奨の質とエビデンスの質が十分でないことが明らかになった。
そこで、American Heart Association(AHA)およびAmerican Stroke Association(ASA)のガイドラインに基づく治療推奨の強さとエビデンスの質を評価した最新の研究を紹介と、脳出血治療の現状と課題について詳しくしらべてみたそうな。
この研究では、AHA/ASAの脳動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)および自然発生性脳内出血(ICH)に関するガイドラインの評価を行った。
ガイドラインは、推奨の強さ(Class of Recommendation, COR)とエビデンスの質(Level of Evidence, LOE)に基づいて分類された。
COR I: 強い推奨(利益が明らかに害を上回る)
COR IIa: 中程度の推奨(利益が害を上回るが、エビデンスが不十分または不確実)
COR IIb: 弱い推奨(利益が害をわずかに上回るか、エビデンスが乏しい)
COR III: 推奨しない(利益がないか、害が利益を上回る)
LOE A: 高品質なエビデンス(複数のランダム化比較試験やメタアナリシスに基づく)
LOE B: 中程度のエビデンス(単一のランダム化比較試験や非ランダム化研究に基づく)
LOE B-R: ランダム化試験に基づく中程度のエビデンス
LOE B-NR: 非ランダム化試験に基づく中程度のエビデンス
LOE C: 低品質なエビデンス(専門家の意見や限られたデータに基づく)
・過去のガイドラインと比較すると、LOE A(最高エビデンスレベル)は46%減少し、LOE B(中程度のエビデンス)は45%増加した。LOE C(低品質なエビデンス)は11%減少した。
・過去のガイドラインと比較すると、LOE Aは78%減少し、LOE Bは82%増加した。LOE Cは14%増加した。
・最新のガイドラインが高品質なエビデンス(LOE A)に基づく推奨が少なく、中程度のエビデンス(LOE B)に基づく推奨が増えていることを示している。最新のガイドラインが以前よりもエビデンスの質に対する信頼性が低下している可能性がある。
最新のAHA/ASAガイドラインに基づく脳動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)および自然発生性脳内出血(ICH)の治療推奨は、強く推奨される治療法(COR I)や高品質なエビデンス(LOE A)に基づく推奨が少ないことが明らかになった。特に、くも膜下出血治療に関するガイドラインでは、エビデンスの質が低く、推奨の強さも不十分であることが浮き彫りになった、
というおはなし。
感想:
くも膜下出血を含む脳出血治療には、質の高いエビデンスはほとんど無く、効くか効かないかよくわからない対処法がほとんどを占めている、ってこと。