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YouTubeは、世界中で20億人以上が利用する情報提供プラットフォームであり、教育動画を含むさまざまな情報が提供されている。
脳卒中は、早期発見と治療が重要な疾患であり、一般の人々がその兆候を理解し、迅速に対応することが求められている。
YouTube上で提供されている脳卒中関連動画が、視聴者にとって有益な情報源であるかを評価するべく、特に、脳卒中の兆候を識別するための診断ツールであるBE-FASTが、動画内でどれだけ活用されているかをくわしくしらべてみたそうな。
研究は、2021年11月と2023年5月に行われたYouTubeの検索結果を基にしている。
検索用語には「stroke(脳卒中)」「stroke diagnosis(脳卒中診断)」「stroke signs(脳卒中の兆候)」「brain attack(脳卒中)」「what is stroke(脳卒中とは)」の5つが用いられた。
これらの用語でヒットした動画から、英語であり、脳卒中の認識や診断に関連する内容を含むものを選定し、分析対象とした。
動画の質はGlobal Quality Scale(GQS)を使用して評価し、特にBE-FASTの内容が含まれているかどうかを重点的に確認した。
次のことがわかった。
・2021年と2023年の検索において、それぞれ91本と104本の動画が評価対象となった。
・2021年の検索では、33%の動画にFASTが、4.4%の動画にBE-FASTが言及されていたが、2023年の検索では、それぞれ34.6%と10.6%に増加していた。
・これにより、YouTube上の脳卒中関連動画におけるBE-FASTの認知度が少しずつ向上していることが示された。
・しかし、全体としては依然として十分とは言えず、多くの動画が視聴者にとって有益な情報を提供するには至っていないと評価された。
YouTubeが急性脳卒中の認識において視聴者に有益な情報を提供するプラットフォームとして改善の余地があることがわかった。特に、BE-FASTの認識が動画内で徐々に広まりつつあるが、その普及率はまだ低い。今後、医療情報を提供する動画コンテンツの質をさらに向上させ、脳卒中の早期発見と適切な対応を促進するための努力が必要である、
というおはなし。
感想:
FASTやBEFASTは、血栓溶解薬の投与にタイムリミットがあることを前提とした医療機関のマーケティング戦略の一環であり、常にただしいわけではない。
期待されたほど血栓溶解薬が効果を示さないことが明らかになってきた今となっては、YouTubeがこの誤情報に汚染されきっていないのはむしろ喜ばしいことかもしれない。