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脳卒中患者にとって、口腔衛生は重要な要素である。
急性期病院に入院した患者の91%が不良な口腔状態を持つことが報告されている。
特に歯周病(PD)は心血管疾患(CVD)や心房細動(AF)などと関連が深く、脳卒中患者においても重要なリスクファクターとなっている。
そこで、独自の口腔評価法である改訂口腔評価グレード(mOAG)を使用して、口腔状態と脳卒中の転帰および院内肺炎(HAP)との関連を日本人でくわしくしらべてみたそうな。
広島大学病院での急性脳梗塞(AIS)患者247名の記録を対象にした
mOAGは、唇、舌、舌苔、唾液、粘膜、歯肉、保存状態、うがいの8項目を0~3点で評価するシステムである。
患者は入院後3日以内に評価され、そのスコアと3か月後の機能的転帰(modified Rankin Scale: mRS 0-2)およびHAP発生率との関連が分析された。
次のことがわかった。
・247名のAIS患者のmOAGスコアのROC曲線解析では、転帰予測のカットオフ値は7、HAP発生予測のカットオフ値は8とされた。具体的には、以下のような結果が得られた。
・ mOAGスコアが高い(口腔状態が悪い)患者は、3か月後の脳卒中転帰が悪くなる確率が高い(OR 1.31, 95% CI 1.17-1.48, P < 0.001)。
・mOAGスコアが高い患者は、HAPの発生率も高い(OR 1.21, 95% CI 1.07-1.38, P = 0.003)。
・特に、唇の状態や舌苔、唾液の状態がmOAGスコアに大きく影響していると考えられた。
広島大学病院で使用されている口腔評価のmOAGスコアは、急性脳梗塞患者の機能的転帰や院内肺炎の発生を予測する有効な変数であることが示された。特に、入院時の口腔状態が良好であることが、患者の良好な転帰と院内肺炎の発生減少に寄与する可能性がある、
というおはなし。
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