元
一般に頭蓋内動脈瘤の直径が3mm以下のものを極小動脈瘤と呼ぶが、これは血管内治療医にとって特に技術的な難題となる。
このため、極小動脈瘤は多くの関連研究から除外されてきた。
そこで、破裂および未破裂の小型頭蓋内動脈瘤に対する血管内塞栓術後の合併症による脳梗塞発生の危険因子をくわしくしらべてみたそうな。
2009年から2023年の間に、セルビア・モンテネグロ領内の4つの異なるセンターにおいて、1567例の患者に対して頭蓋内動脈瘤の血管内塞栓術を施行した。
総患者数のうち、4mm未満の動脈瘤は185例で治療され、119例が破裂、66例が未破裂であった。
次のことがわかった。
・破裂した小型頭蓋内動脈瘤患者119例では、19例(16%)が血管内治療後に虚血神経障害を呈し、6例(5%)が軽度の神経障害を、13例(10.9%)が重度の神経障害を呈し、うち6例(5%)が死亡した。
・未破裂の小型頭蓋内動脈瘤患者66例では、7例(10.6%)に血管内治療後の虚血神経障害がみられ、5例(7.6%)に軽度の神経障害が、2例(3.03%)に重度の神経障害がみられた。
・虚血障害発生の危険因子は患者の年齢、喫煙、飲酒であった。
・使用された血管内治療の種類も虚血障害の発生に有意な影響を及ぼした。
4mm未満の小型脳動脈瘤の血管内治療後に、破裂未破裂によらず10%以上の患者が手術に起因する虚血神経障害を負っていた、
というおはなし。
感想:
くも膜下出血患者が障害を負ったり死亡するのは理解できるけれども、
未破裂脳動脈瘤の治療後に10人に1人が障害持ちになるのは問題だと思う。
彼らはたいていなんの症状もない人たちだ。
一生かけても動脈瘤が破裂するかどうかはわからないし、
仮に出血しても瘤が小さければ大事には至らず、自然に治ることがおおい。
一般に、くも膜下出血ではアンギオ検査で瘤が確認できない事例が10数%ある。
こういう患者は動脈瘤の治療ができないが、
それでもおおくの患者が自然に完全回復する。↓