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ブラジリアン柔術は比較的新しいスポーツで、アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)の成長とともに人気が飛躍的に高まった。
柔術には様々なサブミッション(関節技や絞め技)があり、中でもチョークホールド(絞め技)は最もポピュラーなものの一つである。
柔術の選手の中には、チョークは安全だと信じている人もいる。
しかし、比較的若い選手がチョークホールドを受けた後、内頸動脈や椎骨動脈の解離による二次的な脳卒中を起こしたという症例報告がある。
柔術における傷害プロファイルを記述した報告はあるが、脳卒中や頸動脈解離について言及したものはない。
そこで、柔術においてどの程度の頻度でチョークホールドが行われ、選手が頸動脈解離(CAD)と一致する症状を経験したことがあるかどうかをくわしくしらべてみたそうな。
ソーシャルメディアを通じて、アスリートのトレーニングに関する定量的・定性的な質問を行う調査票を配布した。
アンケートは28の質問で構成され、トレーニング期間、スパーリングの頻度、好きなサブミッション、チョークの頻度など、参加者のグラップリング(組技)のベースライン情報を主に収集した。
次のようになった。
・参加者のほとんどが男性で(84.7%)、4年間、週4回のトレーニングを受け、99.8%(520人)がスパーリングに参加し、
・平均年齢は37歳で、55.7%(290人)がCADと一致する症状を経験していた。
・記述統計によると、37歳以下の人はCADと一致する症状を経験する可能性が高かった(オッズ比:1.5337(95%信頼区間(CI):1.0827-2.1727)。
・37歳以下のアスリートは、37歳以上のアスリートに比べて、トレーニング歴は短いが(4.7年 vs 8.8年)、週あたりのトレーニング日数は多く(週4.03回 vs 週3.76回)、ドリル時間は長く(1クラスあたり46.8分 vs 38.3分)、クラス出席時間は長く(81.12分 vs 72.3分)、週あたりのトレーニング時間は長かった(338.5分 vs 274.6分)。
・「トレイン・ブレイン」という言葉に関する唯一の質的な質問では、その経験者のうち84.1%(58人)が認知的/身体的な障害(ぼんやりとした頭、集中力の欠如、疲労感、頭痛、言葉を見つけるのに苦労する、目眩、軽い混乱や方向感覚の喪失)と表現していることがわかった。
柔術選手は週に何度もトレーニングを行い、頻繁にチョークホールドにさらされている。彼らの半数以上が頸動脈解離に相当する症状を経験していた、
というおはなし。
感想:
頸動脈解離の症状はまったくめずらしいものではなく、「ほうっておけば自然に治る」、ということ。
首が痛いくらいでうっかり病院にゆくと動脈にステント入れられて、10人に1人くらいが障害を負うか死亡するから注意がひつようだ。↓