元
脳卒中には脳出血と脳梗塞の2種類があり、それぞれの回復には異なるアプローチが必要である。
特に早期リハビリテーションの効果とその開始時期については議論が続いている。
そこで、早期リハビリテーションにおける脳出血と脳梗塞の違い、機能転帰との因果関係、および24時間以内に開始する超早期リハビリでの注意点に焦点を当て、最新の研究結果をもとにその有効性とリスクのレビューをこころみたそうな。
PubMed、Medline、Cochrane Libraryなどの電子データベースから収集した脳出血と脳梗塞に関する早期リハビリテーションの臨床試験を分析した。
特に、早期リハビリテーションの開始時期とその効果に焦点を当て、
リハビリテーションの内容、患者の重症度、リハビリの開始時期、および臨床転帰(死亡率、機能改善など)を評価した。
次のようになった。
・脳出血は高い死亡率(約50%)を持ち、重篤な障害を引き起こすことが多い。一方、脳梗塞は比較的回復が見込みやすいとされる。
・研究では、両者の回復過程において早期リハビリテーションが有効であることが示されているが、その効果には差異がある。
・早期リハビリは機能的独立性、運動機能、生活の質の向上に寄与することが多くの研究で示されている。
・ランダム化比較試験(RCT)では、リハビリを早期に開始した患者群が対照群と比較して優れた回復を示しており、因果関係が支持されている。
・非常に早期(24時間以内)のリハビリテーションには注意が必要である。いくつかの研究では、24時間以内のリハビリが再出血や血圧の変動などのリスクを増加させる可能性があると指摘されている。
・AVERT研究では、超早期リハビリが3ヶ月後の転帰を悪化させる可能性があることが示された。
早期リハビリテーションは、脳卒中患者の機能回復と生活の質向上において重要な役割を果たす。しかし、脳出血患者に対するリハビリの開始時期については慎重な評価が必要である。特に、24時間以内の超早期リハビリテーションはリスクが伴うため、個々の患者の状態を十分に評価した上で実施することが求められる。今後の研究では、さらに詳細なガイドラインと標準化されたリハビリテーションプロトコルの確立が期待される、
というおはなし。
感想:
よほどの重症患者でないかぎり、脳卒中で失われた機能の70%はなにもしなくても3ヶ月以内に自然回復する。
だから、急性期に療法士さんが張り切る必要はないのだけれども、ただ傍観していると存在意義が疑われかねないから、ちまちまと早期リハビリの試験を行っているのだろう。