元
脳卒中による新たな障害は、自分の状態を見直す機会でもある。
脳卒中後、視野欠損に対する病態失認は頻繁に起こる。
片麻痺の研究では、なぞなぞをつかったテストにより、不確実な状況下で「自信」をコントロールする能力の欠如が病態失認に影響することがわかっている。
そこで、後大脳動脈領域の脳卒中による同名半盲患者および年齢をマッチさせた対照群において、同じなぞなぞテストを用いて患者の自信を測定し、病態失認との関連をくわしくしらべてみたそうな。
なぞなぞテストでは、正答のわからない不確実な状況下で、5つまでの連続したヒントが順に与えられる。
各ヒントの後、患者は正しい答えとなる単語を推測し、その確信度を自身で評価する。
次のようになった。
・病態失認評価のBisiachスコアによると、29人中12人が視野欠損に気づいていなかった。
・半盲に対する病態失認の患者はすべて右半球に病変があった。
・病態失認のある患者とない患者では、全般的な認知障害、精神的柔軟性、記憶機能に有意差はなかった。
・重要なことは、最初の2つのヒント(不確実な状況)下において、病態失認患者は病態認知の患者や対照群よりも高い確信度評価を示したことである。
・このことは、各群(病態失認、病態認知、対照)となぞなぞのヒントとの有意な交互作用効果によっても証明された。
・病変サブトラクション解析では、右の紡錘状回と(傍)海馬回に病変のある患者において、視野欠損の病態失認割合が高いことが示された。
・この結果は、不確実な状況下における過剰な自信が、半盲症に対する病態失認に寄与している可能性を示唆している。
同様の関連が片麻痺の病態失認においても報告されていることから、「自信過剰」が脳卒中後の視野欠損への病態失認の共通要因であることが示唆される、
というおはなし。
感想:
右脳をやられたのに自信たっぷりな脳卒中経験者は、いろいろな面で自覚に欠けているからヤバいよってこと。 ハイ。