元
テネクテプラーゼは、脳卒中発症後4.5時間以内に治療を受けた患者に対して効果的な血栓溶解剤である。
アルテプラーゼと異なり、テネクテプラーゼは単回投与が可能であり、作用時間が長い。しかし、発症後4.5時間を超えた場合のテネクテプラーゼの有効性に関するデータは限られている。
そこで、発症後4.5時間から24時間以内にテネクテプラーゼを投与した場合の有効性と安全性をくわしくしらべてみたそうな。
中国で実施されたこの試験では、中大脳動脈または内頸動脈の太い血管が閉塞し、灌流イメージングで脳組織が救護可能と確認され、かつ血管内血栓除去術を受けられない患者を対象とした。
患者はテネクテプラーゼ投与群と標準治療群(抗血小板薬など)に無作為に割り付けられた。
薬は、患者が最後に元気であると確認された時刻から4.5時間から24時間以内に投与した(寝起き脳卒中や傍観者不在の脳卒中も含む)。
次のようになった。
・合計 516 人の患者が登録され、264 人がテネクテプラーゼ投与群に、252 人が標準治療群に無作為に割り付けられた。
・レスキュー血管内血栓除去術を受けた患者は、テネクテプラーゼ群で 4 人、標準治療群で 5 人と、全体の 2% 未満であった。
・テネクテプラーゼ群では、90日後のmRSスコアが0または1の転帰優良患者の割合が、標準治療を受けた患者よりも有意に高かった(33.0% 対 24.2%)。
・90日後の死亡率は、テネクテプラーゼ群で13.3%、標準治療群で13.1%であり、
・治療後36時間以内の症候性頭蓋内出血の発生率は、それぞれ3.0%と0.8%であった。
脳梗塞発症後4.5~24時間の患者にテネクテプラーゼを投与したところ、標準治療とくらべて障害の程度が軽くなった。しかし生存率は変わらず、症候性の脳出血発生率はあきらかに高かった、
というおはなし。
感想:
夢の薬だったアルテプラーゼによる治療が、ふつーの抗血小板療法に劣っていることがあきらになったものだから、少しだけ作用機序のことなる別の薬に注意を逸らし、
どさくさまぎれに「24時間まで使ってOK!」にしたってこと。
しかし抗血小板療法よりもはるかに高い脳出血率は隠しきれなかったもよう。