元
脳梗塞患者にとっては、一人暮らしは予後不良のリスク要因のひとつであることが示されている。その主な原因は、適切な治療が遅れることによる。
動脈瘤性くも膜下出血(SAH)患者においても、一人暮らしが予後不良と関連しているかどうかを評価するために単施設での患者記録をくわしくしらべてみたそうな。
次のようになった。
・2013年1月から2022年12月の間に入院した451人のくも膜下出血患者のうち、43人の一人暮らしの患者が自宅でくも膜下出血を発症し(A群)、329人の家族と同居する患者が自宅でくも膜下出血を発症した(F群)。
・死亡率(46.5% vs. 29.8%)と予後不良となる傾向は、A群の方がF群よりも高かった。水頭症の併発率は、前者で有意に高かった(37.2% vs. 21.3%)。
・グループAは、自ら助けを求めることができるかどうかによって、さらに「自分で助けを呼べる群(n = 15、グループAC)」と「自分で助けを呼べない群(n = 28、グループUC)」に分けられた。グループACは良好な転帰を示す傾向があった(27% vs. 4%)。
・特にグループUCでは、正確な発症時刻を特定できない場合が多く、破裂した動脈瘤を完全に塞栓する治療が特に困難であった。グループUCの全体的な死亡率は57%と高く、手術を受けいれる能力は67%にすぎず、
・受診が遅れたことによる周術期合併症(肺炎、再出血、血管攣縮、脳腫脹)も一般的であった。
一人暮らしのくも膜下出血患者の大半が助けを呼べないことを考えると、早期発見を促すためのさらなる取り組みが必要である、
というおはなし。
感想:
一人暮らしは助けを求めにくい状況なのだから、おなじ重症度グレードⅤでもより重篤な患者の割合は高く予後不良になるのは当然のこと。
その事実をもって「早期治療」を肯定することはできない。
じっさい、くも膜下出血のULTRA試験によると、早期治療を行った患者の転帰はみごとに悪化した。↓