元
認知症を患う成人の数は増加傾向にあるため、社会的な優先課題となっている。
この増加傾向は、集団レベルでの血圧管理の改善によって部分的に緩和される可能性がある。
そこで、集団レベルでの血圧管理を厳格化することが、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)イベントおよび認知症の発生にどのような影響を与えるかをくわしくしらべてみたそうな。
オープンソースのASCVDおよび認知症シミュレーション分析プラットフォームであるミシガン慢性疾患シミュレーションモデルを使用して、
第8次合同国家委員会勧告(JNC 8)およびSPRINT(収縮期血圧介入試験)プロトコルに基づく2種類の血圧治療が心血管イベントおよび認知症に与える影響を評価した。
通常のケア(標準的な医療現場での血圧管理)、
JNC 8の推奨(60歳以上は150/90以下)、
SPRINT(収縮期血圧120未満)
の各プロトコルに基づく治療の3つの集団を全国代表データを用いてシミュレーションした。
各集団に対して年毎のリスク因子を更新し、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)イベント、認知機能全体のスコア、認知症の発生を評価した。
次のようになった。
・SPRINTに基づく血圧治療戦略を適切に実施した場合、通常ケアと比較して、米国におけるASCVDイベントが年間約7万7千件減少した。また、脳卒中または心筋梗塞を発症せずに生存できる期間が0.4年延長した。
・ASCVDイベントのない生存年数の増加は、JNC 8に基づく治療よりもSPRINTに基づく治療の方が大きかった。
・SPRINTに基づく最適な血圧治療の実施により、通常のケアと比較して生存率と最適な脳健康状態で過ごせる年数が改善された。高血圧患者の平均余命は0.19年、最適な脳健康状態で過ごせる年数は0.3年延びた。
・SPRINTに基づく血圧治療により、認知症を発症せずに過ごした年数が増加したが(高血圧患者1人あたり平均0.13年)、主に高齢まで生存する成人の増加により、認知症を発症する総数は増加した。
血圧管理を厳格化することは、ほとんどの個人にとって有益であり、心血管疾患のリスクを減少させ、脳の健康を改善する可能性が高い。しかし、認知症を減少させる可能性は低く、むしろ高齢者の認知症患者数を増やす可能性がある、
というおはなし。
感想:
降圧薬でフラフラになり骨折や腎不全の危険をおかしながら、がんばって収縮期血圧を120未満にしていると、
2~3ヶ月 余命が延びるけれども、
認知症になる確率は高くなるってこと。
3ヶ月間も長生きできるんか、、、
NEJM誌:血圧目標120mmHg未満の効果