元
動脈瘤破裂によるくも膜下出血(aSAH)の発生率はよく研究されている。
しかし、くも膜下出血の重症度の傾向についてはほとんど知られていない。
そこで、経年的なくも膜下出血の重症度の推移をくわしくしらべてみたそうな。
1968年1月から2022年12月までの研究を対象にシステマチックレビューをこころみた。
Hunt and Hess (HH) または World Federation of Neurosurgical Societies (WFNS) スケールで、aSAH の重症度を5段階評価しているものを含め、
患者数が50人未満の試験、レビュー、非aSAH患者を対象とした試験は除外した。
次のようになった。
・合計2465件の論文が特定され、そのうち214件が選択基準を満たした。
・合計で、102,845人のaSAH患者が対象となった。
・過去50年間で、良好(グレード1~3)なHHとWFNSの数は減少していた。
・過去50年間で、重症度グレード4~5のaSAH患者が2~3倍、とくに重症度5の患者が6~8倍に増加していることが示された。
・この変化が、より重度の出血、神経集中治療や病院前管理の改善、またはグレード分類基準の変更によるものかは不明である。
過去数十年間で、くも膜下出血 (aSAH) 患者の重症度がおおきく増加していることが観察された。この増加は、初期の鎮静や挿管の介入が患者の実際の良好な臨床状態をより悪く見せかけている可能性を示唆している。そのため、評価システムの改善が必要である、
というおはなし。
感想:
最悪グレード患者が6~8倍に増えた理由をわかりやすく言うと↓、
頭痛しかない軽い症状の患者でもすぐに鎮静剤を打つことで意識不明な状態にし、重症グレード5を与える「慣習ができた」から、ってこと。
くも膜下出血の動脈瘤手術の効果を証明できる臨床試験はいまだ世に存在しない。
軽症患者を薬で意識不明にしないと、かなりの割合の患者が手術拒否をするようになる。
すると、手術をしなくても全快できることが白日のもとになり、貴重な収入と手術練習の機会を失ってしまうから、このような慣習が世界レベルで続いていると考える。
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あらすじ)著者が強い頭痛で病院を訪れると、検査中になぜか意識が無くなった。手術などしてほしくなかったにもかかわらず、目が覚めると「希望してもいない」コイルがアタマに詰められていた。後日コイルトラブルで言葉が出なくなり、現在は再手術を勧められているという衝撃のノンフィクション。