元
後大脳動脈(PCA)脳卒中における血管内血栓除去術(EVT)のエビデンスは少ないので、メタアナリシスをこころみたそうな。
MEDLINE、Embase、Web of Scienceの各データベースから、PCA脳卒中に対するEVTと内科的治療(MM)を比較した研究を検索した。
90日後の機能的転帰、症候性頭蓋内出血(sICH)、死亡を比較した。
また、2016~2020年のNational Inpatient Sample(NIS)の傾向スコアマッチ(PSM)分析を行い、実データによる知見の裏付けを行った。
次のようになった。
・質の高い研究5件、合計2,095例(EVT685例、MM1,410例)が同定された。
・EVTは、90日後の障害の無い転帰と有意に関連していたが、機能的自立との関連はなかった。
・EVTはまた、sICHおよび高い死亡リスクとも関連していた。
・患者95,585例の傾向スコアマッチング解析では、EVT(n=1,540)は退院時の良好な転帰割合が低く(24.4%対30.7%)、院内死亡率が高く(8.8%対4.9%)、ICHの発生率が高く(18.2%対11.7%)、くも膜下出血の発生率が高かった(3.9%対0.6%)。
・中等度から重度の脳卒中(NIH脳卒中スケール5以上)患者では、EVTは有意に良好な転帰と関連しており、死亡率とICHは同程度であった。
メタアナリシスでは、後大脳動脈での脳卒中の血管内血栓除去術は、内科的治療とくらべて機能的自立の転帰に差がなく、症候性の脳出血リスクがあきらかに高かった。
これらの所見は、実臨床データの大規模な傾向スコアマッチ解析によっても裏付けられた。
したがって、血栓除去術の有効性と安全性をより説得力のあるランダム化比較試験で検証する必要がある、
というおはなし。
感想:
血管内治療を持ち上げているのは専門とする医師だけであって、
引いて見ると「効果ない」「危険」ばかりが目につく。
脳を直接に治す術がないがゆえに、血管の中でお茶をにごしているように見える。