元
パレイドリアとは、実際には存在しないのに、意味のある画像やパターンを認識する現象を指す。
たとえば、トーストに焼かれたイエス・キリストの顔や、シナモンバンに見えるマザー・テレサの顔、または9/11のワールドトレードセンターの煙の中に現れたサタンの姿などが挙げられる。
近年、この現象は健常者や神経学的・精神疾患患者においてますます研究されるようになってきている。
そこで、脳卒中患者53名と神経学的に健常な対照群82名を対象に、ナチュラルイメージタスク(自然画像を用いたパレイドリア産生課題)を実施し、比較してみたそうな。
次のようになった。
・左半球脳卒中患者と右半球脳卒中患者でパレイドリア産生の絶対量が有意に減少し、右半球脳卒中患者ではパレイドリア産生が全体的に最も少なかった。
・パレイドリア産生は28のカテゴリーに分類され、「動物」、「人間」、「顔」、「体の一部」が最も多く、パレイドリア全体の72%を占めた。
・異なるカテゴリーのパレイドリアの割合について、左半球患者群では対照群と比較して「体の一部」のパレイドリアの割合が有意に減少していることがわかったが、
・右半球患者では健常対照群と比較してこのタイプのパレイドリアの割合は有意に減少していなかった。
・これらの結果は、パレイドリアの生成は局所的-大域的視覚処理に影響され、左半球は局所的で詳細な分析的視覚処理に大きく関与しているという仮説を支持するものである。
・また、グローバルな視覚処理に重要であると考えられている右半球の病変は、右半球患者のパレイドリア産生が全体的に少ないことを説明できるかもしれない。
脳卒中患者のパレイドリア産生は健常者よりもあきらかに少なかった。とくに右脳患者で少なく、左脳患者では特定パターンでのみ減少がみられた、
というおはなし。
感想:
点が3つあると顔に見えるやつだろ、とおもって検索したら、それは「シミュラクラ現象」というらしく、パレイドリアのなかまなんだとか。