元
怒りの表出(Anger expression)は脳卒中など心血管疾患のリスク上昇と関連している。
この正の関連は、社会的支援の認知が低く、屋外でのレクリエーション活動が少ない人で強かった。
しかし定年退職の有無による影響はよくわかっていないので、60歳以降の日本人についてくわしくしらべてみたそうな。
1997年に心血管リスク調査を完了した60~79歳の地域在住定年退職者と就業者499人を対象とした。
退職者および就業者における怒りの表現に応じた心血管疾患(虚血性心疾患および脳卒中)発症の関連を解析した。
次のようになった。
・平均追跡期間14.8年の間に37人の参加者が心血管疾患の発症を経験した。
・退職者では、怒りの表出は心血管疾患リスクの増加と関連していたが、就業者ではそのような関連は認められなかった。
・怒り表現の1標準偏差増加あたりのハザード比は、退職者では1.77であったが、就業者では有意な関連は認められなかった。
怒り表出と脳卒中など心血管疾患リスクとの正の関連は定年退職者に限られており、定年退職後も仕事を続けることで怒り表出に関連した心血管疾患リスクを低減できる可能性が示唆された、
というおはなし。
感想:
私『なぜ就業者は怒り表出で脳卒中にならないのですか』
AI『研究結果において、就業者が怒りの表出で脳卒中のリスクが顕著に上昇しない理由には、いくつかの理論が考えられます。完全な説明は難しいですが、以下に挙げる点がその理由として提案されています。
1. ストレスのマネジメント: 就業している人々は仕事を通じてストレスマネジメントのスキルを磨いている可能性があり、その結果、怒りの感情をより健康的に処理する方法を持っているかもしれません。
2. 社会的なサポート : 就業者は職場において同僚からの社会的サポートを受ける機会があります。このようなサポートはストレスを軽減し、心血管疾患のリスクを下げることが知られています。
3. 日常的な活動と健康習慣: 就業者は、仕事のルーティンにより定期的な身体活動を持っていることが多く、それが健康に良い影響を及ぼす可能性があります。また、仕事を持っていることで規則正しい生活習慣を維持することが多いです。
4. 目的感と充実感: 就業はしばしば個人に目的感を与え、自己価値を高めます。これは精神的健康に好影響を与え、ストレスや怒りの負の健康への影響を軽減することができます。
5. 経済的安定: 就業者は経済的に安定している傾向があり、経済的なストレスは心血管疾患のリスクファクターであるため、これがリスクの低減に寄与している可能性があります。
6. 認知的刺激: 仕事は認知的な活動を促し、精神的に刺激を受けることが多いです。これが精神的な健康を維持し、怒りの表出が脳卒中リスクに与える影響を軽減する可能性があります。
ただし、これらの理由はあくまで仮説であり、個々の状況によって異なる要因が絡んでくる可能性があります。また、これらは一般的な傾向を示すもので、個々の就業者の状況や個性、職種、職場環境などによって、実際の健康への影響は大きく異なるでしょう。』