元
観察研究では、学歴と脳卒中など心血管疾患(CVD)との間に関連がある可能性が指摘されている。
しかし、因果関係については不明確な点が多い。
そこで、教育水準の高さがCVDのリスクを因果的に減少させるかどうかをくわしくしらべてみたそうな。
メンデルランダム化(MR)解析を用いて、学歴とCVDとの関係を検討した。
ヨーロッパ系のゲノム関連研究のオープンデータベース(IEU Open GWAS)を利用し、学歴に関連する一塩基多型(SNP)を同定し、これらを操作変数としてCVDとの関連を解析した。
次のようになった。
・3.6年の追加教育と関連する遺伝的素因を特定した。この素因は様々なCVDリスクを有意に減少させた。
・具体的には、この遺伝的素因は2型糖尿病のリスクを46.5%、冠動脈性心疾患のリスクを37.5%、脳梗塞のリスクを35.4%、心臓関連死亡のリスクを28.6%、心不全のリスクを28.2%、一過性脳虚血発作のリスクを24%、心房細動のリスクを15.2%、末梢動脈疾患のリスクを0.3%、高血圧のリスクを0.3%低下させることがわかった。
・しかし、学歴と肺塞栓症との因果関係を示す有意な証拠はなかった。
これらの結果は、2型糖尿病、冠動脈性心疾患、脳梗塞、心臓関連死亡率、心不全、一過性脳虚血発作、心房細動、末梢動脈疾患、高血圧を含む様々な心血管疾患の発生率を減少させる上で、より高い教育水準が果たす役割を支持する確固たる証拠である、
というおはなし。
感想:
教育によって、たとえば糖尿病リスクは46.5%も減らせるものの、高血圧のばあいは0.3%のみであった。
つまり、健康情報を勉強して食事の塩分量を減らしたり、運動を心がけたりしたところで高血圧の発症にはほとんど影響がないってこと。
おどろいた。