元
運動リハビリテーションの「用量反応」は数十年間にわたり研究の優先課題であり、いくつかの大規模無作為化試験やメタアナリシスがこころみられてきた。
これらの研究から、運動訓練の継続時間とリハビリテーション効果との間には明確な線引きができないことが示された。
通常、訓練効果の確認にはおおくの反復回数と時間のかかる臨床評価に依存していたため、個人の用量反応を把握することは不可能であった。
そこで、ビデオゲームリハビリテーションの多施設共同試験VIGoROUS(Video Game Rehabilitation for Outpatient Stroke)から得られた3次元の上肢動作データの解析により、
各参加者の4種類の上肢動作について、運動学的用量反応をくわしくしらべてみたそうな。
次のようになった。
・軽度・中等度の上肢障害の慢性脳卒中患者80名を対象とした。
・参加者は、家庭内で15時間のゲームベースの運動訓練を行い、すべての訓練の3次元関節位置データをモーションキャプチャーした。
・各参加者の4つの別々の上肢動作(肘の屈曲と伸展、肩の外転と肘の伸展、肩の屈曲と肘の伸展、肩の屈曲と肘の伸展および前腕の回旋)について、数百から数千回のゲーム内反復から運動学的用量反応軌跡をフィッティングして訓練効果を解析した。
・用量反応分析に十分なデータが得られた75名の参加者のうち、85%が少なくとも1つの動作について運動能力の向上を示した。
・用量反応は二峰性であった。42%は運動学的にプラトーに達するまでに5時間未満の運動練習を要したが、55%は10時間以上、34%は30時間以上を要した。
・ゲームプレイの5時間以内に、その人が最終的にゲームベースの運動練習に反応するかどうかを93%の精度で予測することができた。
脳卒中で上肢障害患者の反復訓練の用量反応にはかなりの個人差がある。訓練効果を得るために、55%の患者は延べ10時間以上、そのうちの半数以上は30時間以上の訓練を要した、
というおはなし。
感想:
長い時間をかければほとんどの患者になんらかの改善効果が得られる可能性がある、ということ。
しかし1時間以上訓練を持続できなかった者が5人いて、それらを除いた者のうち11人には反応がなかったことから、80人中16人(20%)は反復訓練の効果をまったく示せなかった。
さらに「日常生活動作」にまで改善が及ぶかというと、、、↓それはない。