元
動脈瘤破裂によるくも膜下出血は、死亡率が高く、生命を脅かす重篤な状態である。
現在の治療では、最初の24〜48時間以内に外科的クリッピングや血管内治療が行われることが多い。
未破裂動脈瘤の合併症については十分なエビデンスがあるが、破裂動脈瘤患者におけるデータは限られているのでくわしくしらべてみたそうな。
多施設ランダム化比較試験であるEarlydrain試験のデータを用いて、
動脈瘤閉塞後1日目のCTスキャンで検出された治療関連合併症(出血または梗塞)を解析した。
次のようになった。
・Earlydrain試験には19施設で287例の患者が登録された。
・このうち56例(19.5%)に治療合併症がみられた。
・25例(8.7%)が手術による血管への直接的損傷による頭蓋内出血を、34例(11.8%)が手術の間接的影響による梗塞を経験した。
・合併症患者は合併症のなかった患者と比較して、二次的梗塞が有意に多く、180日後の神経学的転帰も有意に不良(死亡を含む)であった。
・動脈瘤の位置(前交通動脈瘤はリスク大)、治療前の再出血、1施設あたりの患者数、治療日(当日手術はリスク大)は合併症発生の独立した危険因子であった。
くも膜下出血患者への再出血予防手術によって、全体の2割の患者が直後に合併症を経験し、あらたな脳梗塞や6ヶ月後の重い身体障害を負っていた、
というおはなし。
感想:
いっぱんに、くも膜下出血でのクリップやコイルによる手術は、当初の出血を止めるためのものではない。
手術開始時点で出血は自然に止まっているので、ひょっとしたら起きるかもしれない「近い将来」の再出血を防ぐための処置にすぎない。
しかもこの再出血予防効果を証明できるランダム化比較試験が未だこの世に存在しない。
つまりまともな根拠を欠く、先人の思い込みに基づいた治療のため医療事故が絶えず、
読めば納得
さもありなん。