元
脳卒中後の上肢(UL)の回復を改善するために、高用量の両側動作(bilateral movements)トレーニングは、有望なリハビリテーション戦略である。
そこで、亜急性期脳卒中における上肢障害と機能的自立に対する両側ULトレーニングと片側ULトレーニングの効果を比較してみたそうな。
5つの電子データベース(PubMed、Scopus、PEDro、ScienceDirect、Web of Science)を2023年6月まで系統的に検索した。
発症後6ヶ月未満の脳卒中生存者における両側トレーニングと片側トレーニングの効果を比較したランダム化比較試験を対象とした。
治療効果は標準平均差(SMD)により算出した。
次のようになった。
・706人が参加した14の研究がレビューに含まれた。
・両側トレーニングは、片側トレーニングと比較して、FMA-UEで測定されたUL障害に有意な改善をもたらした(SMD = 0.48)。
・さらに、UL障害の重症度に基づくサブグループ解析では、「運動能力なし」と判定された患者において、片側トレーニングと比較して、両側ULトレーニングがUL障害の改善において有意に有利な結果が報告された(SMD=0.66)。
・さらに、機能的自立度FIMの日常生活動作においても、片側ULトレーニングと比較して、両側ULトレーニングに有意差が認められた(SMD = 0.45)。
亜急性期脳卒中患者において、両側上肢トレーニングは片側上肢トレーニングに比べ、障害の改善、および日常生活動作における機能的自立の改善においてあきらかに優れていた、
というおはなし。
感想:
10数年まえ、ちょうどじぶんが脳卒中になったころ「CI療法」という片側上肢トレーニングが流行っていた。
その資料を目にしたとき「もともと指が動く患者を選んでいるだけ」というトリックに0.5秒で気がついた。
このレビューには、両側上肢トレーニングで運動能力なし(no motor capacity)とされた患者が動くようになったとする研究が3つ含まれていた。
これホントならすごいことだ。